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■事業の内容

船舶に積載される危険物は、新規の物が次々に出現しており、その性状や港湾における事故時の応急処理等に関する情報の整備・更新は社会的に重要な課題となっている。
 平成11年1月にIMOのIMDGコードが改正され、平成11年7月1日に危規則及び危規則告示が改正される予定であり、これを受けて港則法の危険物について見直す(選定・削除)必要がある。
 また、現状の危険物接岸荷役許容量に関して緩和要望が出ている。
 本事業は、専門家による検討をもとに港則法上の危険物の選定を行うとともに危険物接岸荷役許容量の見直しを行うことを目的として実施した。
(1) 調査の方法
学識経験者及び海事関係者からなる「船積危険物の性状・荷役許容量等に関する調査研究委員会」及び検討会を開催し、調査研究を実施した。
 [1] 委員会による検討
  a.第1回委員会を開催し、次の事項を検討した。
   (a) 事業計画書(案)の検討
   (b) IMDGコード第29回改正物質について
   (c) 接岸荷役許容量の現状について
  b.第2回委員会を開催し、次の事項を検討した。
   (a) 港則法危険物への選定・削除案について
   (b) 火薬類等級1.5物質の取り扱いについて
   (c) 接岸荷役許容量の見直しについて
  c.第3回委員会を開催し、次の事項を検討した。
   (a) 港則法危険物への選定・削除について
   (b) 火薬類等級1.5物質の取り扱いについて
   (c) 現行の規制の問題点について
   (d) 報告書(案)の検討
 [2] 検討会による検討
   検討会を開催し、次の事項を検討した。
  a.港則法危険物の選定・削除案について
  b.接岸荷役許容量の見直しについて
(2) 調査項目及び内容
 [1] 港則法上の危険物の選定
   平成11年1月にIMDGコードの改正が予定されており、IMDGコードを受けた危規則及び危規則告示も改正されることになっている。港則法上の危険物は危規則の危険物のうち性状・危険の程度等を考慮して選定されることとなっており、この選定する際の判断材料として専門家の意見を取り入れ調査・検討の上、選定を行った。
   検討の結果、新たに港則法上の危険物として選定した物質は29物質、港則法上の危険物から削除する物質は18物質とした。
 [2] 港則法上の危険物に関する情報の管理
   [1]で選定された危険物についての性状、取り扱い等の情報を整理してコーディングシートを作成した。
 [3] 岸壁荷役許容量の見直し
   現状において、危険物を積載したタンクローリーのフェリーへの船積みは、当該岸壁における接岸荷役許容量により制限されており、これに関する緩和要望が出ていることから、荷役方法、運航形態を踏まえた岸壁荷役許容量のあり方等について調査・検討を行った。
   調査・検討の結果、カーフェリーにおける荷役は、他の一般船舶の荷役方法と比べ比較的安全であると考えられることから、必要な安全対策を取ることにより、規制の緩和を図ることとした。
   なお、必要な安全対策についても策定した。
(3) 報告書の作成
 [1] 題 名  「船積み危険物の性状・荷役許容量等に関する調査研究報告書」
 [2] 規 格  A4判 150頁
 [3] 数 量  100部
 [4] 配布先  委員、関係官庁、関係団体、教育機関等
(4) 委員会の開催
 [1] 船積み危険物の性状・荷役許容量等に関する調査研究委員会 3回
 [2] 船積み危険物の性状・荷役許容量等に関する検討会     1回
■事業の成果

本調査研究では、船舶に積載される危険物の新規物質等について、性状や取扱等の情報を整理し、コーディングシートの利用により港湾における事故時の応急処理等に関し、極めて有益である。

 また、カーフェリー等が離着桟する岸壁は、海上保安庁通達により「A岸壁」として定められているが、このA岸壁において危険物の荷役を行う際、数量制限があるため実質上、荷役できない状況になっている。本調査研究では、カーフェリーにおける危険物荷役の安全性について調査し、必要な安全対策を策定した。これにより、A岸壁における特例として、数量制限を越えて荷役しても差し支えないという結論に至った。

 このカーフェリーにおける危険物荷役の規制緩和は、現在、運輸省が推進しているモーダルシフト政策に大きく貢献できるものである。





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