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海難審判庁裁決録(平成10年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1998年(平成10年)

平成9年門審第29号
    件名
貨物船第二英裕丸乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成10年10月14日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁

畑中美秀、吉川進、清水正男
    理事官
伊東由人

    受審人
A 職名:第二英裕丸船長 海技免状:三級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
船底中央部の外板に凹損、船首尾線方向に擦過傷

    原因
操船不適切

    主文
本件乗揚は、操船が適切でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成6年8月20日06時15分
三重県加布良古水道
2 船舶の要目
船種船名 貨物船第二英裕丸
総トン数 451トン
全長 64.38メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 735キロワット
3 事実の経過
第二英裕丸(以下「英裕丸」という。)は、主として三重県鳥羽市菅島上福浦地区の石材積出し場から建築用の石材を関東方面へ運搬する砂利採取運搬船で、船外機付き伝馬船を備え、船長B、A受審人ほか5人が乗り組み、船首1.0メートル船尾2.2メートルの喫水をもって、空倉のまま平成6年8月19日11時00分千葉県館山港を発し、菅島上福浦の石材積出し場に向かい、23時00分菅島沖合の誓願島灯標から095度(真方位、以下同じ。)1,080メートルばかりの地点に至り、左舷錨を投入して2節延ばし、業者から前もって翌20日07時30分に荷役開始の連絡を受けていたので、同日06時00分に転錨を開始することとし、それまで錨泊待機した。
ところで、英裕丸では、乗組員の陸上休暇を消化するため、正規の船長のほか、A受審人も月に5日間船長職を遂行できる体制が採られていた。
A受審人は、20日06時前、石材積出し場の岸壁に着岸後下船して陸上休暇をとる予定にしていたB船長から、転錨の際に着岸・操船にあたるよう指示を受け、同船長は1人で伝馬船に乗って綱取りのため離船して岸壁に向かったので、単独で操船指揮につくこととなった。
こうして、A受審人は、昇橋したところ、石材の積荷を待つ他船が3隻、いずれも船首を北から北北西に向けて錨泊しているのを認めた。それらは、英裕丸のすぐ西側に499トン型貨物船(以下「B錨泊船」という。)、その北西側に約100メートル隔てて同じく499トン型貨物船(以下「A錨泊船」という。)及びB錨泊船の南南東約10メートルに199トン型貨物船(以下「C錨泊船」という。)で、水深20メートル以内の狭い錨地に寄せ集まって錨泊していた。
06時00分A受審人は、英裕丸の左舷錨を巻き上げたところ、同船の船首とB錨泊船の船首が10メートルにまで接近し、右転して石材積み出し場の岸壁に直接に向かう操船をすれば、旋回水域に余裕がなく危険に思えたので、左転してB錨泊船の船首を付け回して沖出ししたが、十分に沖出ししたうえで英裕丸の態勢を入れ換え、100メートルもの間隔があり、かつ、水深も十分にあったA及びB両錨泊船間に向かう安全な操船を行わず、沖出ししたときの左転の勢いのまま、わずか30メートルの間隔しかなかったC錨泊船とハノコ鼻間を通り抜けることとし、機関を4.0ノットの極微速力前進にかけて左転しながら続航中、最狭部に差しかかる手前で機関を停止し、船首が北北東に向いたとき、06時15分誓願島灯標から102度1,120メートルの浅礁に2.0ノットの残存速力で乗り揚げた。
当時、天候は晴で風力1の南東風が吹き、潮候は下げ潮の初期であった。
乗揚の結果、自力離礁できなかったので満潮時を待ち、サルベージ業者の支援で16時20分に離礁したが、船底中央部の外板に凹損と船首尾線方向に20メートルにわたる擦過傷を生じた。

(原因)
本件乗揚は、三重県菅島上福浦の沖合において、錨地から岸壁に転錨を開始した際、操船が不適切で、ハノコ鼻から張り出た浅礁に著しく接近したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、三重県菅島の上福浦石材積出し場沖合の錨地において、積荷の岸壁に転錨しようとしたところ、後着の3隻の船舶が狭い錨地に寄せ集まって錨泊しているのを認め、その間を抜けて一時沖出しした場合、再度、錨泊船の間を無難に通り抜けて岸壁前面に達することができるよう、十分に沖出ししたうえで100メートルの間隔があったA及びB両錨泊船間に向かう安全な操船を行うべき注意義務があった。しかしながら、同受審人は、左転しながら沖出ししたときの勢いをもったまま、わずか30メートルの間隔しかなかったC錨泊船とハノコ鼻の間を通り抜けることとし、A及びB両錨泊船間に向かう安全な操船を行わなかった職務上の過失により、ハノコ鼻から張り出た浅礁に著しく接近してこれに乗り揚げ、船底に凹損及び擦過傷を生じたうえ、自力離礁できず、サルベージ業者の支援を要するに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。






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