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海難審判庁裁決録(平成10年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1998年(平成10年)

平成10年那審第13号
    件名
交通船マシュマル乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成10年8月27日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁那覇支部

東晴二、井上卓、小金沢重充
    理事官
道前洋志

    受審人
A 職名:マシュマル船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
船底に亀裂、両舷機ともドライブ部分が折損

    原因
安全対策不十分(監視員を乗り組ませないまま発航)

    主文
本件乗揚は、安全対策が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年7月22日14時00分
鹿児島県奄美大島
2 船舶の要目
船種船名 交通船マシュマル
登録長 9.73メートル
全長 11.80メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 98キロワット
3 事実の経過
マシュマルは、スキューバダイビング目的の客を乗せるFRP製交通船で、Aが1人で乗り組み、子供1人を含む客6人を乗せ、船首0.1メートル船尾0.7メートルの喫水をもって、平成9年7月22日13時10分定係地点の鹿児島県大島郡笠利町用安地先海岸を発航し、同時20分新奄美空港飛行場灯台(以下「飛行場灯台」という。)から247度(真方位、以下同じ。)5.0海里のダイビングポイントに至った。
ところで、A受審人は、ダイビング客をダイビングポイントに案内したり、指導するなどのスキューバダイビングに関するサービス一般を提供するいわゆるダイビングショップを営んでいたもので、前示のダイビングポイントにおいては、さんごが多かったことからその保護のため、船の錨は使用せず、同人が設置した係船浮標に船を係留するようにしていた。なお、係船浮標は、A受審人が5年ほど前新替えしたもので、これに結んだ直径18ミリメートルの合成繊維製索1本の他端を海底の岩の自然に穿(うが)たれた穴に通して係止し、更に長さ4メートルの同種の索を係留用索として取り付け、この海底の岩は、水深が約7メートルのところにあって15年ほど前から同人が係船浮標係止用として使用していたものであった。
また、係船浮標設置地点が外洋に面した海岸付近であり、そしてこのときA受審人自身が客に付き添って潜水したうえ指導する計画となっていたのであるから、係留時の不測の事態に備える安全対策として、船を無人とせずに監視員を残すことができるよう、発航に当たって同人のほか1人を乗り組ませる必要があった。
ところがA受審人は、係留後船を無人とするのは30分程度なので大丈夫と思い、監視員として1人を乗り組ませることなく、今回発航したものであった。
こうして、A受審人は、ダイビングポイントに到着したとき、マシュマルを係船浮標に係留し、準備のうえ、13時25分当初の計画どおり客に付き添って潜水したが、海底の岩については係船浮標係止用として長年使用していてそれまで何事もなかったことから、その状態を確かめることに思い至らず、その後同船を離れて無人とした。
やがてマシュマルは、係船浮標を係上していた海底の岩がたまたま崩壊して索が外れたことから、係船浮標と共に南西方に漂流し始め、14時00分飛行場灯台から245度5.3海里の地点において、係船浮標設置地点南西方海岸付近のさんご礁の浅所に乗り揚げた。
当時、天候は晴で風力2の北東風が吹き、潮侯はほぼ低潮時であった。
A受審人は、客を伴って係船浮標設置地点に戻り、14時15分浮上したとき、南西方に乗揚状態のマシュマルを認め、客を誘導して最寄りの海岸に上がり、事後の措置に当たった。
乗揚の結果、マシュマルは自力で離礁したが、船底に亀(き)裂を生じたほか両舷機ともドライブ部分が折損し、のち船底については修理され、ドライブ部分については新替えされた。

(原因)
本件乗揚は、外洋に面した鹿児島県奄美大島北部南東岸付近において客にスキューバダイビングを行わせるため発航する際、ダイビングポイントにおいては船長が案内、指導も兼ねて客に付き添って潜水する計画のところ、安全対策が不十分で、潜水中に船に残る監視員を乗り組ませないままダイビングポイントに向い、私設の係船浮標に係留後船を無人としていた間、係船浮標を係上していた海底の岩がたまたま崩壊して係船浮標と共に漂流したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、客にスキューバダイビングを行わせるため、外洋に面した奄美大島北部南東岸付近の同人設置の係船浮標に係留し、かつ同人も客に付き添って潜水し、指導しようと計画した場合、係留中の不測の事態に備える安全対策として、同人が潜水中も船に監視員を残すことができるよう、同人のほか1人を乗り組ませるべ注意義務があった。しかるに、同人は、潜水中船を無人とするのは30分程度なので大丈夫と思い、監視員として同人のほか1人を乗り組ませなかった職務上の過失により、ダイビングポイントにおいて係船浮標に係留したのち船を離れて無人としていた間に係船浮標を係上していた海底の岩がたまたま崩壊したとき、係船浮標と共に漂流するという事態に至らしめて乗揚を招き、船底の亀裂等の損傷を生じさせた。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。






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