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海難審判庁裁決録(平成10年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1998年(平成10年)

平成9年広審第123号
    件名
貨物船第二十八宝運丸乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成10年8月28日

    審判庁区分
地方海難審判庁
広島地方海難審判庁

釜谷奨一、織戸孝治、横須賀勇一
    理事官
前久保勝己

    受審人
A 職名:第二十八宝運丸船長 海技免状:四級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
船首船底部に擦過傷

    原因
居眠り運航防止措置不十分

    主文
本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が不十分であったことによって発生したものである。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年7月20日01時30分
愛媛県今治港
2 船舶の要目
船種船名 貨物船第二十八宝運丸
総トン数 499トン
全長 69.40メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 735キロワット
3 事実の経過
第二十八宝運丸(以下「宝運丸」という。)は、船尾船橋型の貨物船兼砂利運搬船で、A受審人、B指定海難関係人ほか3人が乗り組み、汚泥約1,000トンを載せ、船首3.2メートル船尾4.4メートルの喫水をもって、平成9年7月18日11時40分京浜港川崎区を発し、広島県上黒島の揚地に向かった。
ところで、宝運丸の船橋当直は、00時から04時までと12時から16時までをB指定海難関係人、04時から08時までと16時から20時までを一等航海士、及び08時から12時までと20時から24時までをA受審人がそれぞれ担当する単独3直制となっており、航海中の供食準備等は、機関長が行っていたことから、船橋当直者が、当直以外の時間に、十分休息のとれる体制となっていた。
B指定海難関係人は、翌19日20時ごろから床についていたものの、どうしてか熟睡することができないまま、23時45分ごろ船橋当直のため昇橋し、A受審人から当直を引き継ぐことになった。
A受審人は、引継ぎに際しB指定海難関係人が、船橋当直の経験が長かったこともあり、狭水道等自らが操船指揮を行う以外は、平素同人に単独で当直を行わせており、無難にこなしていたことから、単に来島海峡付近で適宜知らせるように告げたものの、緊張して船橋当直に当たること、報告地点を明示して確実に報告することなどの指示を徹底することなく、船橋後部のソファーで仮眠した。
こうしてB指定海難関係人は、23時50分高井神島灯台から051度(真方位、以下同じ。)3海里の地点で船橋当直に就き、来島海峡の手前約2海里に達したときA受審人に報告する予定で、いつものように操舵輪後方に仮設してある椅子に腰掛けた姿勢で当直に従事し、翌々20日00時53分竜神島灯台から065度4.7海里の地点に達したとき、針路を240度に定めて自動操舵とし、機関を全速力前進にかけて11.0ノットの対地速力で進行した。
B指定海難関係人は、当直に先立ち十分な睡眠がとれないまま睡眠不足気味の状態で当直に従事し、椅子に腰掛けた姿勢のままでいると居眠りに陥るおそれがあったが、居眠り運航とならないよう、立って当直を行うことなく航行中、周辺に障害となる他船も見当たらなくなり、報告地点にまでは、まだ余裕があったことから気を許して当直に従事するうち、いつしか居眠りに陥り、予定の報告地点を過ぎ、01時27分今治港東防波堤灯台から000度0.7海里の地点に達し、今治港内の陸岸に向首したまま進行したが、このことに気付かず、同陸岸を避けないまま続航中、宝運丸は、01時30分今治港東防波堤灯台から311度1,250メートルの同港内の陸岸に原針路、原速力のまま乗り揚げた。
当時、天候は晴で風はほとんどなく、視界も良好で、潮候は下げ潮の中央期であった。
仮眠中のA受審人は、機関音の変化で目覚め、その直後、乗揚の事実を知り、事後の措置に当たった。
乗揚の結果、宝運丸は船首船底部に擦過傷を生じ、船体は来援したサルベージ船によって引き降ろされたが、損傷が軽微で修理は必要としなかった。

(原因)
本件乗揚は、夜間、備後灘を西行中、居眠り運航の防止措置が不十分で、今治港内の陸岸に向首進行したことによって発生したものである。
宝運丸の運航が適切でなかったのは、船長の無資格船橋当直者に対する報告の指示が不十分であったことと、同当直者が居眠りしたこととによるものである。

(受審人等の所為)
A受審人が、夜間、備後灘を西行中、無資格の甲板長に船橋当直を引き継ぐ際、来島海峡航路手前で確実に報告を得られるよう、指示を徹底しなかったことは本件発生の原因となる。
しかしながら、以上のA受審人の所為は、不十分ではあるものの一応の指示は行っていることに徴し、職務上の過失とするまでもない。
B指定海難関係人は、夜間、睡眠不足気味の状態で、単独の当直に当たり、障害となる他船がいない備後灘を西行する際、椅子に腰掛けた姿勢のままで気を許して当直に従事し、居眠りに陥ったことは本件発生の原因となる。
B指定海難関係人に対しては、勧告しない。

よって主文のとおり裁決する。






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