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海難審判庁裁決録(平成10年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1998年(平成10年)

平成10年門審第7号
    件名
漁船第二宝栄丸乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成10年7月22日

    審判庁区分
地方海難審判庁
門司地方海難審判庁

畑中美秀、西山烝一、岩渕三穂
    理事官
伊東由人

    受審人
A 職名:第二宝栄丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
中央部船底に擦過傷、推進器翼及び舵に曲損及び折損

    原因
居眠り運航防止措置不十分

    主文
本件乗揚は、居眠り運航の防止措置が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年6月2日05時45分
福岡県津屋崎鼻
2 船舶の要目
船種船名 漁船第二宝栄丸
総トン数 7.9トン
全長 16.10メートル
機関の種類 ディーゼル機関
漁船法馬力数 120
3 事実の経過
第二宝栄丸(以下「宝栄丸」という。)は、刺し網漁業に従事するFRP製漁船で、A受審人が1人で乗り組み、友人1人を乗せ、操業の目的で、平成9年6月1日17時ごろ福岡県大島漁港を出港して筑前大島北西沖合の漁場に至り、いさき約200キログラムを漁獲し、翌2日03時00分博多漁港に入港して水揚げしたのち、04時20分船首0.4メートル船尾1.6メートルの喫水をもって同港を発し、大島漁港に向け帰途についた。
ところで、A受審人は、大島漁港を根拠地として夕刻に出港して大島周辺や沖ノ島周辺の漁場で夜間操業を行い、翌日早朝に博多漁港又は神湊漁港で水揚げして大島漁港に戻る、いわゆる日帰り操業を1箇月に約18日の割合で行っており、操業中の休息時間が、魚群を見つけてから投網に適した潮止まりを待つ間の2時間程度で、就寝は大島漁港に戻ってからの日中にすることとなり、停泊中に網の修理などの雑用もあって、今回のように連続4日の出漁となるときには一日の平均睡眠時間が3時間位となり、睡眠不足で疲労した状態となっていた。
こうして、A受審人は、04時56分玄界島灯台から082度(真方位、以下同じ。)1.8海里の地点にあたる、志賀島北西のシタエ曽根灯浮標を左舷近くに航過したとき、針路を大島の曽根鼻東沖に向く036度に定めて自動操舵とし、機関を毎分1,500回転の全速力前進にかけて15.0ノットの対地速力で進行し、05時19分筑前相ノ島灯台より302度1.3海里の地点に達したとき、連日にわたる操業の疲れと睡眠不足から眠気を催し、半睡状態となり、レーダーを一瞥(べつ)したところ、右舷船首30度6海里ばかりに映った楯ノ岬の映像を認めたものの、これを大島南端の曽根鼻と誤認し、このままの針路では大島の西方沖に向いているものと思い、倉良瀬戸に向けるつもりで075度に転針したところ、船首が津屋崎鼻付近の陸岸に向かう状況となったが、このことに気が付かなかった。
A受審人は、依然として転針後の前方の状況をよく確かめず、機関の回転数を毎分1,300回転に下げて13.0ノット対地速力に減速して航行するうち、疲労と眠気で立っているのが我慢できなくなったが、同乗の友人が操業の手伝いに疲れて操舵室の左舷側壁に寄りかかって熟睡しており、近くに他船も見当らないことから、少しの間なら身体を横にしても居眠りすることはあるまいと思い、一時航行を中断して近くの相ノ島付近に錨泊するなど、居眠り運航を防止する措置をとることなく、操舵室内の椅子代わりにしていた横板に横たわっているうち、いつしか居眠りに陥った。
A受審人は、居眠りに陥ったまま楯ノ岬と津屋崎鼻の間の陸岸に向首して続航中、05時45分津屋崎鼻灯台から357度1,100メートルの岩場に、原針路、原速力のまま乗り揚げた。
当時、天候は雨で風力3の南南東の風が吹き、潮候は上げ潮の中央期であった。
乗揚の結果、宝栄丸の中央部船底に擦過傷、推進器翼及び舵に曲損及び折損をそれぞれ生じたが、救助にかけつけた僚船2隻に引き下ろされ、のち修理された。

(原因)
本件乗揚は、博多漁港から大島漁港に向け帰港中、居眠り運航の防止措置が不十分で、津屋崎鼻付近の陸岸に向かって進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人が、博多漁港から大島漁港に向けて帰港中に眠気を催した場合、同乗の友人も操業の手伝いに疲労して睡眠不足の状態であったから、居眠り運航とならないよう、相ノ島付近に錨泊して休息するなど、居眠り運航を防止すべき注意義務があった。
しかるに、同受審人は、少しの間身体を横にしても居眠りすることはあるまいと思い、操舵室の椅子代わりにしていた横板に横たわり、錨泊して休息するなどの居眠り運航防止措置をとらなかった職務上の過失により、居眠りに陥ったまま、津屋崎鼻付近の陸岸に向首進行して乗揚を招き、船底に擦過傷と推進器翼及び舵に曲損及び折損を生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。






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