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海難審判庁裁決録(平成10年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1998年(平成10年)

平成9年仙審第73号
    件名
漁船第八栄幸丸乗揚事件〔簡易〕

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成10年3月24日

    審判庁区分
地方海難審判庁
仙台地方海難審判庁

釜谷奨一
    理事官
副理事官 小金沢重充

    受審人
A 職名:第八栄幸丸船長 海技免状:五級海技士(航海)(旧就業範囲)
    指定海難関係人

    損害
船首部船底外板に亀裂を伴う凹損等

    原因
航海機器確認不適切

    主文
本件乗揚は操舵装置の舵角指度目盛の設定位置確認が不適切であったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成8年8月9日04時00分
青森県八戸港
2 船舶の要目
船種船名 漁船第八栄幸丸
総トン数 133トン
登録長 29.35メートル
機関の種類 ディーゼル機関
漁船法馬力数 470
3 事実の経過
第八栄幸丸(以下「栄幸丸」という。)は、いか一本釣り漁業に従事する船体のほぼ中央に船橋のある鋼製漁船で、A受審人ほか5人が乗り組み、操業の目的で、平成8年7月28日17時00分北海道函館港を発し、襟裳岬灯台の南方沖合の漁場に向かった。同船の操業形態は、1航海を通常30日間から40日間とするものであるが、今回の操業は豊漁であったことから予定の漁獲高に達したところで、操業を切り上げることとし、越えて同年8月8日17時ごろ、船首1.80メートル船尾3.00メートルの喫水をもって前示漁場を発し、水揚港である青森県八戸港に向かった。
A受審人は、その後、同港に向け南西進し、翌9日03時37分八戸港白銀西防波堤東灯台(以下「東灯台」という。)から340度(真方位、以下同じ。)1.8海里の、同港への出入口である中央防波堤と八太郎北防波堤の中央付近に達し、針路を中央防波堤にほぼ沿う179度に定めて操舵を自動とし、機関を7ノットの半速力前進にかけて進行した。
ところで、同船の操舵装置は、操舵輪の左方に隣接して設置された操作盤に、自動、手動及び遠隔操舵の切替えスイッチが組み込まれており、棒型ハンドルを所定の位置に操作することにより、これに対応した操舵手段が選択できるようになっていた。同船では、洋上の広い海域等では主に自動操舵を、港内での細かい操船を必要とするとき遠隔操舵に切り替え、船橋内のどの位置からでも持運式の遠隔操舵盤を介して操舵操船を行うことができるようになっていた。この遠隔操舵盤は、つまみ式ボタンを左右に回すことにより、所定の舵角が得られる構造となっていたが、自動操舵から遠隔操作に切り替えるときには、同ボタンの舵角指度目盛が、船中央であることを確認したうえ、前示切替えスイッチを操作して遠隔の位置に切り替えることを要し、遠隔操舵盤の同ボタンの指度目盛が舵中央の位置から左右いずれかの位置に偏したまま自動から遠隔に切り替えると同指度目盛に対応した舵角となって反応し、意図した舵角と異なる舵効となって現れるおそれがあった。
03時43分半A受審人は、東灯台から331度1.3海里の地点に達したとき、針路を八戸港の東航路に向首する151度に転じ、折から視程がやや狭められた状況下を、同港第2区の白銀船だまりにある第3魚市場に向けて進行していたが、遠隔操舵盤の指度目盛を自動操舵に切り替えるとき、左舵一杯の舵角指度目盛となったまま放置された状態となっていた。
一方、八戸港第2区は、白銀西防波堤の南側にある海域で、同防波堤は、東灯台から南西方に約300メートルの地点でほぼ西方に約700メートル延び、更にここから北西方に約300メートルの地点まで構築されているもので、北西端には八戸港白銀西防波堤灯台(以下「西灯台」という。)が設置され、東灯台の東側が東航路、西灯台の西側が西航路となっており第2区に入港する船舶は、いずれかの航路を選択するようになっていた。
03時54分A受審人は、東灯台から337度470メートルの地点に達し、東航路入口に差し掛かったとき、視程がやや狭められていたことから、平素、航行し慣れた西航路を航行することにし、針路を白銀西防波堤のほぼ中央に向首する217度に転じて続航した。03時57分A受審人は、東灯台から270度510メートルの、白銀西防波堤の北側150メートルの地点に至ってその後、細かい港内操船が予定され、間もなく操舵を遠隔操舵に切り替えることとなる状況にあったが、遠隔操舵盤のつまみ式ボタンの舵角指度目盛の位置を改めて確かめるまでのことはないと思い、このとき同目盛が舵中央であることを確認することなく、左舵一杯の状態のままになっていることに気付かず、自動操舵のまま針路を同防波堤に沿う274度に転針し、西灯台にほぼ向首した針路となって進行した。
03時58分半A受審人は、西灯台と100メートルに接近したところで操舵を遠隔操舵に切り替えたところ、突然、舵角が左舵一杯となって急激に船首が左転を開始し、北西方に延びる前示防波堤に向け転針しだしたのを知ったが、どう対処することもできず、04時00分西灯台から120度80メートルの白銀西防波堤沖側に敷設された消波ブロックにほぼ原速力のまま乗り揚げた。
当時、天候は霧で風力2の東南東風が吹き、潮候は下げ潮の末期で、視程は200メートルばかりであった。
乗揚の結果、船首部船底外板に亀(き)裂を伴う凹損等を生じたが、間もなく自力離礁し、のち修理された。

(原因)
本件乗揚は、夜間、漁獲物の水揚げのため、青森県八戸港に入航する際、白銀西防波堤付近を航行中、操舵装置を自動から遠隔操舵に切り替えるにあたり、遠隔操舵盤上の舵角指度目盛の設定位置確認が不適切で、切替え後、舵角が急激に左舵一杯となり、船首が左回頭をして西防波堤に向け進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、夜間、漁獲物の水揚げのため、青森県八戸港に入航する際、白銀西防波堤付近を航行中、操舵装置を自動から遠隔操舵に切り替える場合、遠隔操舵で正常に操舵することができるよう、遠隔操舵盤上の舵角指度目盛の設定位置が、舵中央となっていることを確認すべき注意義務があった。しかるに、同人は、改めて確認するまでのことはないと思い、同目盛の設定位置が、舵中央となっていることを確認しなかった職務上の過失により、切り替えた遠隔操舵を正常に操作することができず、同防波堤の消波ブロックへの乗揚を招き、船首部船底外板に亀裂を伴う凹損を生じさせるに至った。






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