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海難審判庁裁決録(平成10年度)
事業名
海難審判庁裁決録の刊行配布
団体名
海難審判・船舶事故調査協会
1998年(平成10年)
号
平成10年函審第10号
件名
引船第三坂本丸引船列乗揚事件〔簡易〕
事件区分
乗揚事件
言渡年月日
平成10年6月25日
審判庁区分
地方海難審判庁
函館地方海難審判庁
(
米田裕
)
理事官
副理事官 堀川康基
受審人
A 職名:第三坂本丸船長 海技免状:五級海技士(航海)
指定海難関係人
損害
坂本丸の船底外板に擦過傷及びプロペラに曲損
原因
水路調査不十分
主文
本件乗揚は、水路調査が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年10月16日08時10分
北海道礼文島須古頓漁港沖
2 船舶の要目
船種船名 引船第三坂本丸 台船坂本台船108号
総トン数
51.30トン
登録長 19.87メートル
全長 30.00メートル
幅 12.00メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 735キロワット
3 事実の経過
引船第三坂本丸(以下「坂本丸」という。)は、専ら台船の曳航(えいこう)に従事する鋼製引船で、A受審人ほか1人が乗り組み、船首0.8メートル船尾0.6メートルの喫水となったクレーン付鋼製台船の坂本台船108号(以下「台船」という。)を直径55ミリメートル長さ20メートルの合成繊維製の曳航索で船尾に引き、船首1.7メートル船尾2.6メートルの喫水をもって、平成9年10月16日08時00分北海道礼文島の須古頓漁港を発航し、同島の船泊港に向かった。
ところで、須古頓漁港は、同港北側の船揚場から南東方向に延びる長さ
220
メートルの北防波堤と同港南側の物揚場から北東方向に
50
メートル、更にその北東端から北方向に49メートル延びる東防波堤に囲われて同港の防波堤入口は南東に向いており、北防波堤の南東端に
須古屯港
北防波堤灯台(以下「北防波堤灯台」という。)が設置されていた。
同港に近い東方沖には、同港南東方の陸岸から北北東方に約400メートル延びる水深2メートル以下の浅礁域があり、その中央部に当たる、北防波堤灯台から099度(真方位、以下同じ。)210メートルのところに水上岩があって、その西方約60メートル及び北方約150メートルまでが浅礁域となっていたことから、喫水が2メートルを超える坂本丸で同港から東方の対岸にある船泊港に向かうにあたっては、防波堤入口を出て直ぐに北上して同浅礁域を十分に替わしてから東進しなければならず、同浅礁域は坂本丸が使用していた海図第1043号(礼文島及諸分図)に記載されていた。
A受審人は、須古頓漁港を発航するにあたり、同年10月6日に同港に初めて入港した際、同港の防波堤築造工事に従事していた同じ会社の人に要請して港外の危険な浅礁上に目印のため小船を止めてもらい、同船と携帯用無線機で相互に連絡を取り合いながら入港し、そのとき同船とその沖の水上岩との距離20メートルばかりであり、その後2回の同港への出入港も他からの援助なしで無難に行うことができたこともあって、水上岩のごく近くにさえ寄らなければ浅礁は避けられるものと思い、使用中の海図を見て浅礁の拡延状況を調べるなど水路調査を十分に行わなかった。
こうして、A受審人は、正確な浅礁の拡延状況が分からないままに自らが操舵操船に当たり、北防波堤内側の船揚場寄りの岸壁を台船を曳航して離れたあと、08時05分北防波堤灯台から291度120メートルの地点で、針路を防波堤入口のほぼ中央に向く127度に定め、機関を微速力前進にかけて2.0ノットの対地速力とし、操舵室左舷側に立って遠隔操舵装置による手動操舵で進行した。
08時07分半A受審人は、北防波堤灯台から170度50メートルの地点に達し、台船の船首部が北防波堤南東端に並航したとき、前記の水上岩を右舷側に替わすためゆっくりと左転を開始したところ、次第に浅礁域に接近していたが、そのことに気付かずに続航中、08時10分坂本丸は、045度を向首し、水上岩を70メートルばかり離して航過しているとき、同灯台から090度150メートルの浅礁に乗り揚げた。
当時、天候は晴で風力2の西風が吹き、潮候は下げ潮の末期で潮高は17センチメートルであった。
乗揚の結果、坂本丸の船底外板に擦過傷及びプロペラに曲損を生じたが、09時ごろ自然離礁し、台船を曳航して目的地に向かった。
(原因)
本件乗揚は、北海道礼文島
須古頓漁港を
出港して同島船舶港に向かうにあたり、水路調査が不十分で、同漁港東方沖の浅礁に向首進行したことによって発生したものである。
(受審人の所為)
A
受審人は、北海道礼文島須古頓漁港を出港して同島船舶港に向けて航行する場合、備付けの海図を見て浅礁の拡延状況を調べるなど水路調査を十分に行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、水上岩のごく近くにさえ寄らなければ浅礁は避けられるものと思い、水路調査を十分に行わなかった職務上の過失により、水上岩の西方約
60
メートル及び北方約
150
メートルまでが水深
2
メートル以下の浅礁域となっていることに気付かずに進行して乗り揚げを招き、坂本丸の船底外板に擦過傷及びプロペラに曲損を生じさせるに至った。
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