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海難審判庁裁決録(平成10年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1998年(平成10年)

平成10年神審第2号
    件名
貨物船第二有明丸乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成10年5月14日

    審判庁区分
地方海難審判庁
神戸海難審判庁

佐和明、工藤民雄、清重隆彦
    理事官
竹内伸二

    受審人
A 職名:第二有明丸船長 海技免状:三級海技士(航海)
    指定海難関係人

    損害
船底部外板全般にわたり亀裂をともなう凹損、推進器翼に曲損、燃料油タンク等に浸水

    原因
船位確認不十分

    主文
本件乗揚は、船位の確認が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成9年6月4日23時10分
鳴門海峡
2 船舶の要目
船種船名 貨物船第二有明丸
総トン数 2,938トン
全長 109.10メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 7,060キロワット
3 事実の経過
第二有明丸(以下「有明丸」という。)は、京浜港、岡山港、広島港及び愛媛県松山港間の定期運航に従事する船首船橋型混載自動車専用船で、A受審人ほか9人が乗り組み、車両等450トンを載せ、船首4.20メートル船尾5.20メートルの喫水をもって、平成9年6月4日16時20分松山港を発し、京浜港に向かった。
A受審人は、船橋当直を同人、一等航海士及び二等航海士の3人にそれぞれ甲板長又は甲板手を付けて2人当直の4時間交代制とし、機関を約17ノットの航海全速力前進にかけて瀬戸内海を東行した。
同日23時00分ごろ当直中のA受審人は、鳴門海峡の北西方1.5海里ばかりのところで、操業中の漁船群を避けるため甲板長を手動操舵に当たらせ、機関を約12ノットの港内全速力前進に減じ、同漁船群をかわしながら鳴門海峡に向けて東行した。
そのころA受審人は、鳴門海峡の潮流が南流最強時の1時間前で、約7ノットの南東流があることを知っていたものの、大鳴門橋の灯火が視認でき、また、霧に関する気象情報が発表されていなかったことから、甲板長と2人で鳴門海峡を通することとし、23時06分少し前孫埼灯台から356度(真方位、以下同じ。)1.1海里の地点に達したとき、針路を大鳴門橋中央部に向首する160度に定め、機関を引き続き港内全速力前進とし、折からの潮流に乗じて19.0ノットの対地速力で進行した。
A受審人は、針路を定めたころから急に霧がかかり始め、大鳴門橋の各橋梁灯や照明灯の灯火が視認できない状況となったが、同橋の2つの橋脚を照らす灯火の光芒(こうぼう)が船首方向左右舷にそれぞれぼんやりと視認でき、160度の針路でほぼそれらの中央に向首していたので、このまま続航すればそのうち針路目標とする大鳴門橋橋梁灯(C1灯)(以下「中央橋梁灯」という。)の灯火が見えてくるものと思い、レーダーで反航船がいないことを確かめたうえ、船橋前部のジャイロ・レピーターの横に立ち、前方の見張りを続けた。
有明丸は、その後潮流によって左方に4度ばかり圧流されながら進行し、23時08分には孫埼灯台から027度920メートルの地点に達し、そのまま進行すれば、鳴門海峡最狭部の淡路島側にある一ツ碆の浅礁に著しく接近する状況となった。しかし、A受審人は、依然大鳴門橋に近づけば中央橋梁灯の灯火が見えてくるものと思い、時折レーダーで同橋までの距離を確認していたものの、レーダーを活用して左右の偏位など、船位の確認を十分に行わなかったので、左方に圧流されていることに気付かず、同一針路で続航した。
A受審人は、その後霧が更に濃くなって大鳴門橋の各灯火を認めることができないまま同橋を通過して進行中、有明丸は、23時10分鳴門飛島灯台から036度670メートルの浅礁に原針路、原速力で乗り揚げ、船底部を擦過した。
当時、天候は霧で風力2の北北西風が吹き、視程は約50メートルで、潮候は下げ潮の末期にあたり、付近には約7ノットの南東流があった。
乗揚の結果、船底部外板全般にわたり亀裂(きれつ)ともなう凹損を、推進器翼に曲損をそれぞれ生じ、燃料油タンク等に浸水したが、同油の流出はなく、のち修理された。

(原因)
本件乗揚は、夜間、霧による視界制限状態の鳴門海峡を順潮流に乗じて南下する際、レーダーを活用するなど船位の確認が不十分で、淡路島側一ツ碆の浅礁に著しく接近する進路で進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人が、夜間、霧による視界制限状態の鳴門海峡を強い南東流に乗じて南下中、針路目標とする大鳴門橋中央橋梁灯を認めることができなくなった場合、潮流で左方に圧流されるおそれがあったから、淡路島側にある一ツ碆の浅礁に著しく接近することのないよう、レーダーを活用するなどして船位の確認を十分に行うべき注意義務があった。しかし、同人は、そのうち針路目標とする同中央橋梁灯が見えてくるものと思い、レーダーを活用して船位の確認を十分行わなかった職務上の過失により、左方に圧流されて一ツ碆に著しく接近する進路になっていることに気付かず進行し、同碆浅礁に乗り揚げ、船底部外板に亀裂をともなう凹損を、推進器翼に曲損をそれぞれ生じさせるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。






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