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海難審判庁裁決録(平成10年度)

 事業名 海難審判庁裁決録の刊行配布
 団体名 海難審判・船舶事故調査協会  




1998年(平成10年)

平成9年横審第48号
    件名
プレジャーボートフェアレディー乗揚事件

    事件区分
乗揚事件
    言渡年月日
平成10年5月22日

    審判庁区分
地方海難審判庁
横浜地方海難審判庁

猪俣貞稔、川原田豊、勝又三郎
    理事官
大本直宏

    受審人
A 職名:フェアレディー船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
両舷プロペラシャフト、同プロペラ及び舵などを曲損、船尾船底外板に破口を生じて浸水、沈没、のち廃船

    原因
水路調査不十分

    主文
本件乗揚は、水路調査が十分でなかったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成8年8月17日13時00分
三重県的矢港
2 船舶の要目
船種船名 プレジャーボートフェアレディー
総トン数 19トン
全長 14.38メートル
幅 4.54メートル
深さ 2.48メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 1,095キロワット
3 事実の経過
フェアレディーは、製造者型式インフィニ50セダンと称する、22軸を備えたFRP製モーターボートで、A受審人が船舶所有者名義の会社を経営しているところであるが、同人が船長として一人で乗り組み、レクリエーションの目的で同社の社員13人を乗せ、船首0.5メートル船尾1.0メートルの喫水をもって、平成88月17日09時30分愛知県蒲郡港の東方にある御津マリーナを発し、三重県的矢港に向かった。
ところで、的矢港は、安乗埼灯台の西方入り江に形成されたリアス式海岸の港で、的矢港沖瀬灯標(以下「沖瀬灯標」という。)の北方に堅子浦及び千賀浦と称する小入り江がそれぞれあって、そのうち東側の千賀浦奥に鳥羽マリーナが建設されていた。
沖瀬灯標の東方500メートルのところには大瀬と称する険礁域があって、堅子浦及び千賀浦両入り口の南600メートルばかりに位置しており、その北側に真珠養殖用筏(いかだ)(以下「真珠筏」という。)が敷設されていた。また、沖瀬灯標の西方3.5海里にあたる、三重県志摩郡磯部町飯浜付近に志摩スペイン村と称する観光地があった。
A受審人は、出航時から船体中央部の操舵室上部にあるフライングブリッジに上がって操舵に当たり、ほぼ25ノットで航行し、11時30分安乗埼灯台を左舷側に航過して的矢港に入り、沖瀬灯標を経て、12時ごろ志摩スペイン村沖に達して見学を済ませた後、鳥羽マリーナに向かうこととし、同灯標に向けて折り返した。
A受審人は、真珠筏を左舷側に航過したあたりから左転してこれをつけ回しながら進行したが、鳥羽マリーナのある千賀浦入り口を間違えて堅子浦に向かい、12時52分沖瀬灯標から348度(真方位、以下同じ。)1,280メートルの地点に至ったとき、ようやく間違いに気付き、直ちに千賀浦に向かうため反転し、ほぼ155度の針路及び5.0ノットの速力で、真珠筏を左舷側に見ながら航走した。
A受審人は、千賀浦の入り口を間違えるなど的矢港港内の航行に不慣れであったが、自船の喫水が浅かったこともあって、同港港内に自船が航行できない険礁域があるとは思わず、その存在状況を海図にあたるなど水路調査を行っていなかったので、大瀬の存在に気付かなかった。
A受審人は、真珠筏を左舷側に航過し、12時58分沖瀬灯標から017度450メートルの地点で、同筏の南側を通過すべく10.0ノットに増速し、少しずつ左転しながら進行したところ、同時59分少し過ぎ船首が105度を向いて大瀬に進入し、13時00分船首がほぼ074度を向いたとき、沖瀬灯標から062度640メートルの地点において、暗礁に乗り揚げた。
当時、天候は晴で風はほとんどなく、潮候は下げ潮の中央期であった。
乗揚の結果、両舷プロペラシャフト、同プロペラ及び舵などを曲損したほか船尾船底外板に破口を生じて浸水し、自力航行不能となって付近にいた漁船に曳(えい)航されて鳥羽マリーナに向かったものの、同マリーナ入り口手前に達したところで沈没し、のち引き上げられたが、修理費がかさんで廃船とされた。

(原因)
本件乗揚は、的矢港港内の堅子浦から千賀浦奥にある、鳥羽マリーナに向かうに当たり、水路調査が不十分で、沖瀬灯標の東方に存在する大瀬に向首進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、的矢港港内の堅子浦から千賀浦奥にある、鳥羽マリーナに向かうに当たり、同港港内の航行に不慣れな場合、険礁域の存在状況を海図にあたるなど水路調査を行うべき注意義務があった。しかるに、同人は、自船の喫水が浅かったこともあって、同港港内に自船が航行できない険礁域があるとは思わず、水路調査を行わなかった職務上の過失により、大瀬の存在に気付かないまま暗礁に向首進行して乗り揚げ、両舷プロペラシャフト、同プロペラ及び舵など曲損したほか船尾船底外板に破口を生じて浸水し、沈没させるに至った。
以上のA受審人の所為に対しては、海難審判法第4条第2項の規定により、同法第5条第1項第3号を適用して、同人を戒告する。

よって主文のとおり裁決する。






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