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1998年(平成10年)

平成9年函審第72号
    件名
遊漁船山水丸灯浮標衝突事件〔簡易〕

    事件区分
衝突事件
    言渡年月日
平成10年2月10日

    審判庁区分
地方海難審判庁
函館地方海難審判庁

大石義朗
    理事官
副理事官 堀川康基

    受審人
A 職名:山水丸船長 海技免状:一級小型船舶操縦士
    指定海難関係人

    損害
本船は右舷船首外板に凹損、土砂処分場灯浮標は櫓を含む灯籠部に欠損

    原因
見張り不十分

    主文
本件灯浮標衝突は、見張りが不十分であったことによって発生したものである。
受審人Aを戒告する。
適条
海難審判法第4条第2項、同法第5条第1項第3号
    理由
(事実)
1 事件発生の年月日時刻及び場所
平成8年8月12日00時20分
北海道苫小牧港
2 船舶の要目
船種船名 遊漁船山水丸
全長 15.38メートル
機関の種類 ディーゼル機関
出力 356キロワット
3 事実の経過
山水丸は、FRP製遊漁船であるが、A受審人が1人で乗り組み、釣り客16人を乗せ、船首0.4メートル船尾1.6メートルの喫水をもって、平成8年8月11日17時30分北海道苫小牧港漁港区域を発し、同港南西方沖合でまいか釣りを行った後、23時20分苫小牧港東外防波堤灯台から220度(真方位、以下同じ。)16.5海里の地点において、針路を040度に定め、機関を全速力より少し遅い17.0ノットにかけ、自動操舵として帰途についた。
A受審人は、従来同漁港区域から出入航し、その際防波堤入口付近においては、大型船の通航帯を避けて水路の西側沿いに航行することにしており、本年は8月初めから遊漁を開始し、いつも航行している西側の水路付近に、開発局苫小牧港土砂処分場灯浮標(以下「土砂処分場灯浮標」という。)が設置されていることを知ったが、夜間、土砂処分場灯浮標の側を航行するのは今回が初めてであったから、これを見落とさないように注意する必要があった。
翌12日00時14分A受審人は、苫小牧港東外防波堤灯台から224度1.1海里の地点において、速力を11.0ノットに減じ、針路を032度に転じ手動操舵としたとき、正船首1.15海里のところにある土砂処分場灯浮標を認め得る状況であったが、苫小牧港東外防波堤灯台の見え具合から同灯浮標が左舷側に十分離れているものと思い、見張りを十分に行わなかったので、このことに気付かず進行し、その後、更にそのまま向首続航し、00時20分苫小牧港東外防波堤灯台から322度450メートルの地点において同針路、同速力のままの山水丸の右舷船首が同灯浮標に衝突した。
当時、天候は曇で風力1の南風が吹き、視界は良好で潮候はほぼ高潮時であった。
衝突の結果、山水丸は右舷船首外板に凹損を生じ、土砂処分場灯浮標は櫓(やぐら)を含む灯籠(ろう)部に欠損を生じた。

(原因)
本件灯浮標衝突は、夜間、北海道苫小牧港に入航中、見張りが不十分で、土砂処分場灯浮標に向首する針路のまま進行したことによって発生したものである。

(受審人の所為)
A受審人は、夜間、単独で船橋当直に就いて北海道苫小牧港に入航する場合、前路の土砂処分場灯浮標を見落とさないよう、見張りを十分に行うべき注意義務があった。しかし、同人は、同灯浮標が左舷側に十分離れているものと思い、見張りを十分に行わなかった職務上の過失により、同灯浮標に向首したまま進行して衝突を招き、山水丸の右舷船首外板に凹損を及び同灯浮標の櫓を含む灯籠部に欠損をそれぞれ生じさせるに至った。






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