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防火広報用視聴覚資器材の活用状況

 

21世紀に向けた防災指導

愛媛県・宇和島市少年婦人防火委員会

 

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「さあ、みんなで誓うよ〜!火遊びは絶対にしません!!」続いて、クラブ園児全員で誓いの大合唱。そして、園児たちに火災の恐ろしさを知らせるために、防火アニメーションを上映する。園児たちは、液晶ビジョンで映し出された、スクリーンに集中し、様々な反応しを示し、防火の大切さ、命の尊さを学習する。

我々消防職員が、いかなる言葉で説明するよりも、スクリーンを通して、視聴覚に訴える、防火啓発教材の効果は絶大である。

宇和島少年婦人防火委員会(幼年15、少年4、婦人18クラブ、クラブ員1,932人)は、平成7年度、防火広報用視聴覚資器材・液晶ビジョン一式を交付いただき、当該クラブ員への育成指導及び地域住民への防火思想の啓蒙普及のため、宇和島地区(事)消防本部において、当該資器材を活用した、防火指導を実施し、安全で住みよい地域社会の実現を目指している。

交付いただいた、平成7年は、阪神・淡路大震災が発生し、我々国民に深い悲しみと多くの教訓を残した年であった。そして、この液晶ビジョンが最初に映し出したのが、この大震災の生々しい、記録をもとにした、防災啓発ビデオだった。視聴者の地区婦人防火クラブ員らは、被災地区の人々の、生々しい状況を目の当たりにして、改めて地域防災の重要性、日頃の備えの大切さを実感した。

現在、阪神・淡路大震災から3年経ち、被災地区の復興と共に、あの大惨事も、人々の記憶から薄れつつある。しかし、被災者にとっては、一生忘れられるものではない。

我々消防職員は、火災を含むこれらの震災害により失われた、多くの命、また苦しみや悲しみを覚えた人々に報いるために、この貴重な体験等により作成された、防災啓発ビデオを効果的に上映し、防災意識の高揚を図り、持続させていく義務がある。

当地区において、毎年恒例である、クラブ員の入退団式、防火教室、消火訓練などの機会に従来からある、防火映画に加え、多彩なビデオ教材を上映可能な、液晶ビジョンを使用している。

今年は、当地区商店街において、地域住民とのふれあいを通じ、防火防災意識について、広く啓発するための行事として、消防フェアの実施を予定している。当該行事において、消防車両等の展示から応急処置法の展示、職員が趣向を凝らしたゲームコーナー等の催しを計画中である。この中で液晶ビジョンを活用した防災啓発アニメーション上映コーナーを設けることとなっている。しかし、上映にあたっては、適度な暗さが必要となったが、試行錯誤の末、簡易テントの骨組みパイプと暗幕カーテンを使用することで、問題解決となった。来る消防フェアについては、地区消防と少年婦人防火委員会及び商店街の一致協力により、来場の地域住民の皆さんに、効果的な啓発が達成され、大成功するものと確信している。

今後は、既成の防火防災啓発ビデオに加え、自作啓発ビデオを製作上映するなどして、地域に密着した防火防災指導が望まれる。そして、高齢化社会が進む現在、人と人のふれあいを大切にした、自主防災組織づくりと防火防災指導の実施により、住民の防火防災意識の高揚普及に努めたい。それが安心して暮らせる、災害に強い21世紀の町づくりにつながるものと確信している。

 

 

 

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