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有害物質はその種類も多く、性状も多様なことから事故の態様も大きく異なってくる。

有害物質を吸入した場合には意識障害の程度等を判断して、必要に応じて心肺蘇生を行うが、有害物質に係る一般的な処置は次のとおりである。

(1) ガスを吸入した場合は、直ちに新鮮な空気のある場所に移動させる。

(2) 皮膚についた場合は、着衣を脱がせ、大量のせっけんをつけて洗い流す。

水洗時間は少なくとも15分間、皮膚が発疹していたり痛みが残っていたならば更に10分間水洗を繰り返す。

(3) 眼に入った場合は、まぶたを十分に開いて特に念入りに15分間以上流水で洗う。両眼が汚染されていたにもかかわらず片眼の痛みのみに気を取られて軽傷のほうの眼は洗わなかったためにその眼に障害が残った事例がある。両眼とも必ず洗浄しなければならない。

(4) 飲み込んだ場合は、うがいを繰り返し、大量のぬるま湯等を飲ませたうえで吐かせる。

ただし、酸やアルカリ等の粘膜を腐食する化学物質を飲み込んだ場合は、吐かせることによって潰瘍、穿孔を起こすことがあるので、吐かせずに卵白等を飲ませて粘膜を保護しなければならない。

この有害物質の救急処置に関しては、海上保安官や消防機関の指導を受けて行うことが必要である。

 

VII. 搬送法

 

傷病者はできるだけ動かさないことが原則であるが、危険な場所に倒れている場合等には安全な場所に移動しなければならない。

移動の基本は、相手の身体に無理な力を加えないことである。特に、船内の傷病者を船外へ運ぶ場合には、狭い通路、階段が多いので、これらの場所で傷病者に負担がかからないように工夫して運ばなければならない。

 

1 担架による搬送

(1) 担架への収容

次の点に注意して担架へ収容する。

イ できるだけ多くの人員で傷病者を寝たままの状態で水平に抱き上げて担架に収容する。

 

 

 

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