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IV. 人工呼吸法

いろいろな方法があるがマウス・ツー・マウスが一番効果的である。

一般に活用されているのは

(1) 口から口または鼻へ  (2) 口から器具を介して口へ

の二通りであるが、幼児の場合は口と鼻から同時に行う。(1)の方法は溺者の口か鼻に直接自分の口を当てるので、衛生的に危険と思われる場合もあり、不織布4枚を口と口の間に挟むか、マウス・ツー・マウス・レサシエーターのような器具を介して行うとよい。

人工呼吸を施すにあたっては、先ず気道の確保を行わなければならない。

 

1. 気道の確保

 

(1) 頭部後屈法

ひたいに掌部を置き、頭部を後方に反らせる。他方の手で首の後のうなじ部を愛護的に持ち上げる。図1.

 

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図1 頭部後屈法

 

(2) おとがい部挙上法

上記方法で気道確保が十分でない場合は、ひたいに掌部を置き、頭部を後方に反らせながら、他方の手の指を下顎の下面の骨の部分に置き、口がほぼ閉じるまで顎部を持ちあげる。骨の部分以外の軟部組織を圧迫しないこと。図2

 

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図2 頭部挙上法

 

(3) 下あご挙上法

マウス・ツー・マウス・レサシエーターを使用する場合の方法で最も確実な気道確保の方法である。救助者は溺者の頭側に位置して図3(A)のように頭部を後屈したあと、両手をそれぞれの側の下あご角に置き、親指で軽く口を開け、下あごの歯列が上あご歯列より前に出て受け口になるくらいまで下あごを前方に押し出す。

図3(B)のように下あごを前方に押し出したのち、第3、4、5指でずり落ちないように上あごの方に圧しつけて固定すれば、親指、人差し指が自由になり、唇を開けておいたりマスクを固定するのに使える。

 

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図3 下顎挙上法

 

 

 

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