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1つは、A「新関係国内法令に基づく執行措置・裁判の具体的事例の検討」であり、外国船舶に対する調査・臨検・拿捕・抑留などの執行措置とか、ボンド(供託金)の提供による釈放や裁判移送などの国内裁判手続を検討内容として想定しました。もう1つは、B「海洋法条約上の国際的責任の履行と国内法令の関係づけ」というテーマであり、軍艦・政府公船の違法行為、拿捕、海洋汚染に関する執行措置など、国が国際法上の直接責任を負う場合と、臨検・追跡権の行使とか海洋汚染に関する執行措置などに伴って生じた、船舶・船主その他の私人の損害について、国内法に基づく賠償・補償を行う場合とを区別し、それぞれについて、条約規定の解釈と国内法上の対応措置を検討内容として想定しました。

5. このため当委員会は、国際法、刑事法、行政法の専門学者側委員が、それぞれ上記のA、Bテーマ・グループに配属され、その枠内での個別研究項目の選定と口頭報告を担当しました。また官庁側委員も、毎回委員会の討議に参加し、随時、海上保安事例上の問題を提示するなどして、実務上の論点との照合・調整に貢献しました。

本年度の委員会は、年間6回開催され、上記の区分と内容により報告と討議が重ねられました。そのうち最後の1回は、呉に参上し、海上保安大学校の徳野校長・教官各位も参加されて、個別報告や総括的な論点の整理など、充実した討議を進めることができました。こうして当委員会は、それぞれの専門分野からの広汎な知見に支えられて、3年間にわたり、きわめて密度の濃い調査研究の実績をあげえたと考えております。

6. 当研究会がこのような調査研究を進めるに当たっては、事務局として海上保安大学校と財団法人海上保安協会の関係各位からきめ細かなご高配と多大のご協力を賜りました。委員一同に代わり、ここに改めて厚く御礼申し上げます。

 

平成11年3月

海洋法調査研究委員会

委員長  山本 草二

 

 

 

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