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(i) 船舶所有者は、船員が(i)により与えられた有給休暇に係る連続勤務の後にその同一事業に属する船舶において、1年間勤続して勤務したときは、その1年間の経過後1年以内に、連続勤務1年間につき25日(沿海区域、平水区域を航行区域とする国内船については15日。)、その後連続勤務3か月を増すごとに5日の有給休暇を付与しなければならないこととなっている(沿海区域、平水区域を航行区域とする国内船については3日。)。

この場合においても、(i)を準用して有給休暇の付与を延期することができることになっており、その延期した期間1か月を増すごとに2日の有給休暇を加えることとなっている(沿海区域、平水区域を航行区域とする国内船については1日。)(第74条第2項及び第3項、第75条第3項及び第4項)。

(iii) 有給休暇付与の要件となる勤務は乗船中の勤務に限定されず、次に掲げる期間は同一事業者に属する船舶において勤務した期間とみなさる。

(イ) 船員が職務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため勤務に従事しない期間

(ロ) 育児休業をした期間

(ハ) 妊産婦の船員が、勤務に従事しない期間

(ニ) 他の船舶所有者の行う事業に属する船舶において従事する勤務

(ホ) 船舶における勤務に係る技能の習得及び向上等を目的として受ける教育訓練であって、職務上の命令に基づくもの

(ヘ) 係船中の船舶における勤務

(ト) 同一の船舶における連続した勤務のうち当該船舶が他の船舶所有者の事業に属する間に従事したもの

船舶における勤務が中断した場合において、その中断事由が船員の故意・過失によるものでなく、かつその中断期間の合計が1年当たり6週間以下であれば、連続性を損われないとされている(第74条第4項、第5項、則第49条の2)。

(iv) 週休日、祝祭日の休日、慣習による休日又はこれらに代わるべき休日がある場合、これらの休日は有給休暇の日数には含まれないとされている。負傷・疾病により勤務に従事しない日数も含まれない(第76条)。

3] 有給休暇の与え方

有給休暇を与えるべき時期及び場所については船舶所有者と船員との協議によるが(第77条第1項)、船舶所有者は正当な理由がない限り船員の要求を拒否できないこととなっている。また、有給休暇は、労働協約の定めがあれば分割して与えることも可能であるとされている(第77条第2項)。

4] 有給休暇中の報酬

船舶所有者は、有給休暇中船員に給料並びに一定の手当及び食費を支払わなければならず、有給休暇を請求できる船員が解雇され、又は退職したときも、その者に与えるべき有給休暇の日数に応じ、給料、手当及び食費を支払わなければならないこととなっている(第78条)。

 

 

 

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