日本財団 図書館


あるように、トップから身内への利益誘導を堂々と行っている場合が少なくない。したがって官僚が上も下も汚職に走ることになる。しかも半ば公然とやっていて、慣習ともなっているのだが、そのおおもとは中国にあるといっていいのではないか。官僚の腐敗は中国文明の伝統であり、これも中国から伝わってきたのだ、もっとも最近の日本も決して威張れないのだが。

だが、それでも工業発展は進むと考えねばならない。発展とともに国民の意識は徐々に是正されていくだろう。ともかくも、かたちの上では民主化している国々である。」

しかし、汚職や腐敗の克服なくしてアジアの発展はない。検討への早急な取り組みを期待したい。アジア諸国の公務員制度を考える際にも重要な点であるので、視点として述べた。

 

4 「専門技術性」という面からみて

日本の公務員制度をみると、その根幹をなしているのは、近代公務員制度の原則であるメリット・システム(成績制)からの「公正性」、公務員の労働基本権の制約に対する代償としての「代償性」および科学的人事行政の実施という面での「専門技術性」である。この三つの根幹をしっかり把握しないと我が国の公務員制度は理解できない。

「専門技術性」とは、公務員制度がいかなる基盤から成り立ち、それを元にしてどのように構築されて実施されているのかという面からの根幹であり、制度としての成熟度を示すものといえよう。公務員制度のそれぞれの項目(区分)ごとに、各国の公務員制度を比較することはあまり意味のないことであり、しっかり「根幹」をおさえた上で比較することが大切である。

「専門技術性」という根幹で、基盤となっているのは、日本では、官職分類制度(現在は、給与法による職務分類制度が代行している。)であり、欧米では、官職を次のように分類しており、これを元にして任用、給与等の人事諸制度が構築されている。

【アメリカ】 官職分類(職群・職列・職級・等級)制度

【イギリス】 カテゴリー・職業グループ・グレード制度

【ドイツ】 ラウフバーン制度 なお、ラウフバーンとは、同一の学歴及び修習(準備勤務)を資格要件とし、かつ、専門領域を同じくする官職の集まりをいう。

【フランス】 カテゴリー・職員群・グレード制度

そこで、アジア諸国では、「専門技術性」という根幹からみて、制度の基盤となっているものは何かを以下述べていくこととする。

【インド】 グループ・クラス・グレード制度 なお、英国をモデルとしている。

【パキスタン】 職群・グレード制度

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION