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第2章 中央人事行政機関

 

1 ラオス人民革命党中央組織委員会

 

ラオスにおいては、ラオス人民革命党の政治計画を実施することが行政部門の主たる任務であり、義務である。従って、微細なレベルでの実施行為を除いて、政策の実施に関し行政部門には自由裁量の余地は殆どないようである。多くの幹部公務員は、党のメンバーでもあり、これらの公務員によるいかなる政策決定及び政策評価も多かれ少なかれ党のメンバーとしての役割の枠の中でなされる。このように公務員は政治体制に深く組み込まれているために、ラオスにおける政治と行政の間に明確な境界線を引くことは難しい。

このため、公務員の人事管理及び人事行政に関わる実質的に重要な機関としては、まず党中央組織委員会(Central Organization Commitee, Lao People's Revolutionary Party)を挙げなければならない。同委員会内各位からの説明によれば、同委員会は幹部公務員の人事管理と人事行政の方針等に関して審査し、政府に意見の申し出を行うという機能を果たしている(最終的には首相が決定する。)。

それから、現在、党は公務員に対する政治研修に重点を置いており、研修機関として国家政治学院(National School of Politics)が設立されている。

 

2 首相府行政・人事局

 

党中央組織委員会との連携の下に、公務員の人事行政を担当しているのが1992年首相令第98号により設置された首相府行政・人事局(Department of Public Administration and Civil Service, Prime Minister's Office)である。公務員規則の適用を受けるすべての公務員に関する規則の制定と運用を所掌している。行政・人事局は公務員を所轄するために設立された部署であり、党から独立しているが、業務の遂行に当たっては党と連携を取りながら行う必要があることを首相令第98号により指示されている。

1993年の公務員規則の公布以来、公務員の勤務条件は全国統一の方針の下に実施されているが、運用は各省庁に任されており、省庁、地方機関の作成する細則は事前に行政・人事局が審査し許可することになっている。

行政・人事局の所掌業務は、次のとおりである。

1] 各レベルの国家機関の設置に関し、その地位、基準、条件の検討と決定、並びに必要とされる機関設置の許可及び不必要となった機関の廃止

2] 県及び県自治体、郡、郡及び村自治体の創設に関する基準並びに条件の検討と策定

3] 国家機関に所属する公務員数の管理及び公務員に関する規則の制定

 

 

 

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