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3 昇進と異動

 

公務員の昇進手続・基準は政府が定める。現在これらは改訂中とのことで、最新の内容は入手できなかった。但し、役職により学歴、勤続年数、仕事の熟練度等の基準が規定されており、この資格要件を満たした者を昇進させているようである。昇進を決定する手続き、および権限者は次の2通りある。

(a) 「普通公務員」の昇進は、各部局(長)が規定の基準に則り実施。

(b) 「官報掲載公務員」またはこれに準ずる等級への昇進は、公務員選抜研修院へ申請し、その許可を得て実施。

公務員の異動は、弾力的に運用されている。通常公務員は(1)管理職(行政分野)(2)管理職(経済分野)(3)専門職(4)技術職(5)事務職、の5つの職種に分類される。また、それぞれの職種の中に等級(grades)がある。昇進は通常、同じ職種内で行われる。職種を越えた異なる経歴進路への昇進が起こらないように、注意が払われている。こうした昇進によって、現職員の昇進見通しを歪め、勤労意欲を傷つけないための措置である。但し、職種間異動(昇進)に関する制約は、選抜グレード以上の上級公務員には、さほど厳格に適用されていない。

各部局間の調整に基づき、職員は現在所属する局から他局の同等級、または必要に応じてより高い等級へ異動することがある。こうした異動は同じ省内、あるいは他省との間で行われることがあり、その場合、関係各省の許可が必要である。希望があれば他局への異動を申し出ることが可能であるが、その場合は受け入れ局の承諾が必要である。(10)

 

4 退職

 

公務員の定年退職年齢は60才である。退職扱(資格)を受けるためには、下記の条件に合致しなければならない。

(a) 国家が管理している機関に勤務した者、

(b) 組織の正式の役職に常勤した者、

(c) 国家予算から支出された俸給を支給された者。

 

(10) 本来、本章において勤務評定の仕組み・基準に関しても言及すべきであるが、残念ながら十分な情報を得ることが出来なかったので省略する。但し、官報掲載公務員への昇進に当たっては、88年の民主化運動に関わっていなかったことが、最低限の政治的条件となっているようである(『国家への貢献:第二巻(1991年〜95年)』50頁)。なお、1991年から95年の間に、新規に官報掲載公務員に昇進した人数は、10,196人である。

 

 

 

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