第9章 福利厚生
1 恩給
恩給受給のある公務員は、55歳の定年退職時に退職金及び月々の恩給の支給を受ける。
恩給受給の資格は勤続10年以上である。支給期間は15年間で、本人が死亡した場合は配偶者が受けとることができる。支給額は、最終給与に勤続年数に応じた係数を乗じたものである。係数は、平均で約75%となっている。
ところで、男性の公務員は50歳、女性の公務員は45歳になるとそれぞれ早期退職の選択権が与えられるが、この早期退職年齢に達する前に辞職する場合は、恩給受給対象者であっても退職金及び恩給の支給対象とならない。
恩給受給のない公務員は、勤続年数が5年以上の場合、退職金が支給される。
1993年1月1日以降、公務員となった者には恩給制度は適用されない。それに代わるものとして公務員信託基金への加入が義務づけられるようになった。
2 公務員信託基金
恩給制度に代わる公務員信託基金制度は、公務員が定年退職時までに十分な貯蓄を行い、退職時の経済的支えとなることを目的に設立された。
公務員信託基金設立の背景は、恩給の支払いによる国家財政の負担の軽減にある。
公務員信託基金は、公務員が月俸の5%に相当する額、政府がさらに同額を追加して積み立てられる。これらの合計の総額と金利分がその公務員の積立額となる。
加入公務員は、年齢が55歳に達した時点で、はじめて積立金を引き出すことができる。ただし、例外として、早期退職年齢到達時の引き出し、受給者引き出し、永久に国外へ移住する際の引き出し、住居購入補助のための引き出しができる。
3 貸付
(1) 住宅購入費貸付
1] 住宅ローン
公務員は、在職期間中に住宅を取得することを奨励される。このため、返済期間が30年の住宅ローン又は定年退職時に一括返済する無利子の住宅ローンが用意されている。この制度により、公務員の俸給の4年分に相当する額を限度として、借り入れができる。