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3. 評価者に対する訓練〔第66・67表参照

人が人を評価する以上、絶対ということはありえない。従来の年功主義下の人事評定でははっきりした格差をつけにくく、会社での自分の評価についての納得度を百点満点で採点すると、平均点は60点弱ともいわれている。もともと人事評定は不満を醸成しやすい制度という本質をもっているが、年功序列重視から能力主義を重視する企業が着実に増えている現在、人事評定の結果について納得を得ようとすると、その人事評定は、「客観性」「透明性」「公平性」を持ったものでなければならず、その結果、差がついてもお互い納得するという形のものでなければならない。そのためには、評価する者が陥りがちな偏った傾向をいかに是正するか、数字に表れにくい事務職等の達成度をどう評価するか等、従業員の納得性を高めることと評価者のレベルをあげることが、人事評定を機能させる上で極めて重要であることから、まず評価者に対する訓練の状況について調査してみることとした。

評価者に対する「訓練を行っている」企業の割合は全体で78.0%を占め、約8割近い企業がおそらく人事評定の「客観性」「公平性」等を求めて評価者に対し研修なり訓練を行っていることがわかった。

規模別には、「5千人以上」の企業が89.1%の高率で評価者訓練を行っており、以下順次率は下がっているものの、「1・2千人台」までは8割以上の企業で評価者訓練を行っていたが、「千人未満」では62.2%といささか低率であった。産業別には、「金融・保険業、不動産業」は、全企業で評価者訓練を行っているとし、先の人事評定の実施状況も踏まえ、他の産業に比べこの産業においては、研修等により客観性、公平性を確保した評価者を育て、納得性のある人事評定を行わせることが、従業員の労働意欲と能力といった人材力の向上を刺激し、それを通して組織の活性化、さらには高い生産性向上を得ようとしているものと思われる。

評価者訓練を行っている企業を対象にいつの時点で訓練を行っているかについては、「管理職研修の際、研修項目として導入している」とする企業が47.5%、「評価者訓練として独立して実施している」とする企業が46.6%と、この両時点を機会としてとらえ、訓練を行っている。

なお、その差は0.9ポイントで、全体像からは「この時点で研修等を行っている」と一概には言えないが、「5千人以上」「3・4千人台」では5割以上の企業が「管理職研修の際」とし、逆に「千人未満」の企業では「評価者訓練として独立して実施している」が5割を超えている。

また、若干ではあるが、管理職研修の際行い、さらに評価者訓練も行っている、あるいは管理職研修の際、階層別研修の際と重ねて実施している企業もあった。

 

 

 

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