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2. 人事評定の目的〔第64・65表参照

人事評定を行う目的としては、「昇進・昇格を決めるため」を回答企業中95.5%の企業があげており、以下順次「賃金の決定要素とするため(給与)」(92.7%)、「賃金の決定要素とするため(賞与)」(92.3%)、「職務能力の評価のため」(90.2%)、「業績の評価のため」(88.1%)となっており、次が「人材の開発育成計画のため」(65.0%)で上位5項目と大きく水をあけている。

また、規模の大きい企業ほどこの5項目に対するウエイトが高く、大企業ほど重要視していることがうかがえる。

さらに、企業規模別、産業別でもこの5項目が高い率を示し、規模間格差、産業間格差も小さいことから、これらの項目が人事評定の中心目的となっている点がよく表れている。

なお、将来発揮できる可能性の高い能力や、開発される可能性の高い能力とそのレベルを予測する手立てである人材評価を行う目的を有しているか否かの項目として、「適切なポストに配置させるため」、「人材の開発育成計画のため」、「才能ある人材の発掘のため」を挙げてみたが、全体としては52.1%、65.0%、36.4%とさほど高い率を示さなかったが、「5千人以上」の規模においては、70%、83%、57%の率で、また規模間格差も大きく、職務能力が仕事をこなす能力(知識力、理解力、判断力、企画力等)とすると、従業員個人の適性と潜在能力を探り、最適の仕事をマッチングさせる人材評価は既に「5千人以上」の規模の企業においてはなされており、規制緩和を通じて大競争時代に対応する人的資源が醸成されている。

次に人事評定を行う重要な目的は何か?に絞って調査してみた結果は、「賃金の決定要素とするため(給与)」が46.6%とおおむね過半数を占め最高で、次いで「賃金の決定要素とするため(賞与)」の40.1%、「昇進・昇格を決めるため」の38.1%と人事評定を行う目的とは順序が若干入れかわっているが、人事評定は、昇進・昇格の判定要素とするより、むしろ実状は賃金の決定要素に多大な影響を及ぼしている結果となった。

なお、「5千人以上」の規模では「賃金の決定要素とするため(給与)」、「業績の評価のため」の順に重要度で上位を占めているが、その他の規模では、「賃金の決定要素とするため(給与)」、「賃金の決定要素とするため(賞与)」の順に重要であるとし、特徴をみせている。

また、規模別、産業別を見ても、賞与より給与の決定要素とする目的が高くなっているが、このことは、年俸制を導入している企業がこの項目に回答しているが故に率が高くなっているともとらえることができる(9年度当研究所の年俸制の導入状況の調査結果では「導入している+導入予定がある」企業が約4割)し、また、従業員間でメリハリを効かせた賃金体系を確立させ、能力・業績主義を徹底させようとする企業の意図とも読み取れる。その他の回答としては、「退職金の決定要素」とする、「公平かつ納得性のある処遇」のため、「人事コース選択」のためというものがあった。

 

 

 

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