II 人件費総額の動向等
引続く不況の下において、企業はこれまでの結果が示すように、常用雇用者の削減、非常用雇用者の減少、新規学卒採用者の採用抑制などの方策を続行している。このことは、企業の従業員数の減少をもたらし、一方において固定経費である人件費の縮減につながることになる。当研究所としては、従来から企業の人件費総額の現下の重要性に着目し、平成5年の調査以来毎年その動向について把握してきたが、本年も引続き調査を実施した。
1. 人件費総額の動向〔第22・23表参照〕
昨年の調査と同じく、「増加」、「減少」に「大幅(10%位以上)」、「相当(5%位以上)」、「少し(3〜4%位)」の3段階の区分を設け、これに「変わらない」を加えた7区分として該当欄に回答していただいた。
その結果、昨年比でみると、「減少」については「大幅(10%位以上)」3.7ポイント増、「相当(5%位以上」)4.7ポイント増、「少し(3〜4%位)」7.6ポイント増で、「増加」については「大幅(10%位以上)」0.8ポイント減、「相当(5%位以上)」2.3ポイント減、「少し(3〜4%位)」10.5ポイント減となり、「減少」が「増加」したとする企業を上回っているが、これはこの1年間の企業のリストラの進行、人件費総額の固定費化から変動費化への移行の影響と思われ、今後の人件費総額の動向の面からも雇用の情勢を注視する必要がある。
ア. 企業規模別
規模別にみると、各規模とも「あまり変わっていない」の回答が30〜40%台で一番高く、「大幅に減少している」は1桁の割合、「相当減少している」が7〜19%、「少し減少している」は20