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III 雇用調整

 

1. 雇用調整の状況

わが国経済は長引く不況から平成10年秋頃おいても景気の底打ち感は出ていない状況にあり、失業率もここ数年で急激に増加し4%台を超え、雇用情勢は大変厳しいものがあることから、本年は雇用調整の動向について把握することとした。

(1) 常勤従業員に対する雇用過剰感〔第11図参照〕

現在、各企業において常勤従業員の雇用は、過剰の状態にあるかどうか尋ねたところ、「過剰である」と感じている企業の割合は37.0%と前回(平成5年調査16.8%)に比べ倍増しており、「やや過剰である」と感じている企業33.2%と合わせると全体の7割を超える企業(同6割弱)が過剰感を持っていた。

なお、第2部で詳述するように「過剰である」と回答のあった企業について「管理職」層を過剰と感じている企業は、95.2%とほとんどの企業が過剰感をもっているのに対し、「一般社員」を過剰とする企業は41.9%と半数以下であった。

 

第11図 常勤従業員に対する雇用過剰感

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(注) 平成5年度の調査では「むしろ不足感がある」の項目は設けていない。

 

(2) 雇用調整の実施状況及び実施に要した年数〔第3表参照〕

7割を超える企業において雇用過剰感をもっていたが、それでは現在又は過去において雇用調整を実施しているか或いは実施を予定しているかどうか尋ねたところ、「行った」企業が25.7%、「行っている」企業が30.3%、「行う予定」とする企業が4.2%で合わせて60.2%の企業が実施または実施を予定しているとしており、「行わない」としている企業は39.8%であった。

なお、雇用調整を既に「行い」、さらに「行っている」あるいは「行う予定」であるとする企業が数社見受けられた。

雇用調整を「行った」と回答のあった企業についての実施に要した年数については、「約1年」が29.0%、「約2年」が21.0%、「約3年」が32.3%、「3年を超える」が17.7%となっており、約8割の企業が3年以内で雇用調整を終了していることがわかった。

一方、現在「行っている」企業についてみると、「約1年」が18.7%と前記の「行った」とする企業に比べ10ポイントも低く、「3年を超える」とする企業が32.2%と相当長い雇用調整期間を見込んでいる。これは、現下の厳しい雇用情勢を配慮してのことかとも思われる。

他方、「行う予定」としている企業についてみると、「約2年」とする企業が60.0%もあり、雇用調整の計画としては2年程度で終了したいと考えている企業が多いことがうかがえる。

 

第3表 雇用調整の実施状況及び実施に要した年数

(回答企業数 284社)

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