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II 調査研究の内容

II-1 物理的油防除資機材の性能調査

II-1-1 油回収装置の性能調査

我が国では油回収装置の性能について、時間当たりの回収能力などの性能値を重要視する傾向にある。しかし、流出油に対し有効な回収作業を実施するに当たり考慮すべきことは、投入する油回収装置の使用可能な海域、波浪に対する装置の挙動、回収可能な粘度の範囲、機動性、操作性などその油回収装置が有する特性を把握したうえで、対応可能な油回収装置を使用することが重要となる。平成9年、日本海で発生したロシア船籍タンカー「ナホトカ号」の流出事故においては、流出した積み荷のC重油が海水を含みムース状となり高粘度化した。この流出油の回収作業に種々の油回収装置が使用されたが、その特性を十分に把握していなかったことから、状況に応じた油回収装置の使用がなされなかったこと、また、回収準備に長時間を要し、その間に流出油が現場から拡散して有効な回収作業が実施できなかったことが報告されている。

このため、個々の油回収装置が持つ様々な特性を明らかにすることを目的として、昨年度は海上災害防止センターが所有する訓練水槽の造波性能等水槽特性を求めるとともに、油回収装置実機を用いて予備試験を行い、性能試験が可能な油回収装置の種類、大きさ、集油用のオイルフェンスの展張方法、集油のための装置等について調査した。

今年度は、昨年度実施した調査に基づき、水流を発生する集油装置を設置するとともに集油用オイルフェンスの展張形状をU字型と決定した。また、試験油も低粘度から高粘度の3種類を用い、より実際の油回収作業に近い状況での性能試験方法を検討し、この試験方法に基づき3機種の油回収装置について、特性を把握するための性能試験を実施した。

 

1 試験条件

(1) 試験水槽

油回収装置性能試験(以下「試験」という。)は、海上災害防止センター(以下「センター」という。)が所有する訓練水槽(以下「試験水槽」という。)において実施した。試験水槽の状況を写真1-1-1及び図1-1-1に示す。

試験水槽の要目 長さ12m

幅8m

水深4m

 

試験水槽の設備

・フラップ式造波装置

造波可能波長;3〜10m

造波可能最大波高;53cm(波長6m時)

・消波装置

 

 

 

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