日本財団 図書館


曲げの種類の欄「平面曲げ」の項に[平曲げ]を併記してあるが、「平面曲げ」が条材においては「側面曲げ」と複合した3次元の曲げであるに対し、[平曲げ]は条材に限らず2次元の曲げとして定義した。

 

曲げ記号は曲げ範囲の中央近くに、折れ記号は折れ線の中央近く、上下の字の柱の位置が折れ線に重なるように、やや大きめに表示する。この記号には、次工程「撓鉄へ送付」の指示を兼ねているからである。

[図2.2.3 曲加工記号の表示位置]に例を示す。

●BKTの折れ:上折れ記号の近くの角度表示は、折れ実角。

●Fc.PLのR曲げ:600Rは下曲げで、→位置が曲げ止まり。

 

041-1.gif

図2.2.3 曲加工記号の表示位置

 

2.2.1 曲加工の要否

曲げ形状部材の型定規作成に当たって、まず判断すべきは、曲加工の必要性である。

例えば、Fc.PLの取り付くウェブ形状がなだらかな曲線であるとか、またラウンドシヤ・ラウンドキャンバーを持つ曲面の甲板であるとか、現図の線や面の定義だけで、出加工とはしていない。曲加工せずとも取り付け組立に支障がないからである。

このような部材を撓鉄工程に送り込み、また無為に運び出すことはない。

これら曲げ加工をパスする曲がり形状部材の曲げを「自然撓み」と言っている。自重+若干の取付負荷で所要形状になじむのが、その条件である。

自然撓みについての公表された研究は、外板の自重によるブロック組立治具への撓みが解かれたことがあるくらいで、あとは各造船所の内部資料に止まっているようである。筆者は、かって簡単な梁理論の応用で現図内規を作り実施していたが、いずこもそんなものであろうか。

もしまだ型定規作成者の恣意に任されているのなら、この際なんらかの基準を決められるとよい。曲がりなりにでも決めておきさえすれば、あとのフィードバックにより改善が進められる。また、よしんば判定計算が複雑になっても、数値現図システムに内蔵させれば、実用容易となろう。今後の工作法研究の1項目として期待しておきたい。

 

自然撓みに類するが、組立工程での平板板継後のKL(折れ)入れがある。直線キャンバーの甲板ブロックで、キャンバー折れがブロック内にある場合、部材加工でKLを入れると、そのため平板自動溶接が適用できない。むしろ、板継仕上げマーキンで出したKL線上を、半自動台車に乗せた線状加熱トーチで炙る方が得策…となる場合である。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION