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2)焼き絞り量の多い船首尾端外板の「材料荒取り」

ステム、スターンフレームを形成する中心線対称の曲り板などは、展開と仕上がりとの形状の差が大きく、プレス押しの掴み代もあるとよいので、外周に余裕をみた近似形状で取材する外ない。余分な余裕を取ると、あと切り捨てるムダな部分の曲げに精出していることになる。

 

2.1.6 組立仕上げ

(略称:アセンブリーの頭文字から、A仕):-

ブロック完成精度を上げるための伸ばし仕上である。

組立工程で手間を掛けても、搭載工程で、その手間を遥かに超えるメリットを回収しようとするのである。やみくもに内仕とすれば、組立工程は再マーキン仕上切断が省略できて単純になるが、搭載工程での「火入れ」「当て金」が発生する。

 

1)板継後仕上げ

皮板を複数並べてシーム溶接とするとき、シーム方向を長さとすれば:-

巾方向:シーム合わせ精度・板継溶接による収縮による誤差累積

長さ方向:各板の端や板毎の基準線を合わせて行っても、ずれ誤差が累積

というように、両方向に予定する原寸と異なる可能性がある。

この可能性を排除するため、板継溶接完了後に一体として再マーキン・切断するのである。

もちろん単位の板の加工精度と板継精度を上げ、累積しても搭載「火入れ」「当て金」が発生しない程度に押さえることができれば、この必要はない。例えば:-

●平板3枚継ぎ、曲り板2枚継ぎまで

●平板矩形ブロック板並べ(ストッパー)治具適用

●単板工法(単位の各板にロンジフレームを先付、後板継)装置化

など、いずれもブロック完成精度の管理の下に成り立つ。たんにプレーナやNCのマーキン切断だから成り立つのではない。

 

2)組立後仕上げ

板継後仕上げられた皮板を証拠に仕上げる場合と、ブロック組立溶接完成後に形状を計測して仕上げる場合とがある。例えば、プレスと焼き曲げ両方で成形したフレームで、撓鉄工程で再マーキンして個別に仕上げるより、組立工程で現物合わせでまとめて仕上げる方が、総合工数少なく精度も良い…などがある。

また、船内切断を地上に移すよう判断する「総組:プリエレクション」工程での切断もこれに相当する。

 

 

 

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