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【基準】

 

1. 事業場の管理責任者

この基準において事業者は、事業場の管理責任者であって、第1条の目的を達成するため、事業場の設備及び諸管理について総括的に管理を行うものをいう。

 

2. 安全衛生管理者

事業者は、事業者の責務を代行する安全衛生管理者を選任する。

安全衛生管理者は従業員の危険又は健康障害の防止、安全又は衛生に関する教育の実施、健康診断の実施、労働災害の原因調査、再発防止対策等の業務を総括管理しなければならない。

 

【解説】

 

1. 事業場の管理責任者

事業場を管理する最高責任者は事業者である。事業者は労働基準法、労働安全衛生法で定義されており事業を行うもので、従業員を使用するものと定義されている。したがって、事業場においては、社長又は社長より管理を委託された工場長が管理責任者である。

法律、政令及び規則等には、管理責任者として事業者が守らなければならない事項が定められている。事業者がその全てを一人で管理することは不可能に近いので、担当事項ごとに管理担当者を定め、計画的・組織的にその責務を分担する管理体制を確立し、それぞれが定められた義務を遂行しなければならない。

事業者等の責務とは、単に労働安全衛生法に定める労働災害の防止のために最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における従業員の安全と健康を確保するように努めることである。また、国が実施する労働災害防止に関する施策に協力しなければならない。さらに、FRP造船所においては、成形作業に際して、FRP成形原材、設備工具等が使用される事による火災や労働災害等の発生防止に努力しなければならない。

 

2. 安全衛生管理者

労働安全衛生法施行令で事業者に総括安全衛生管理者(法10)の選任を義務付けているのは常時300人以上の従業員を使用する事業場である。

造船業の場合、事業場内で一部請負契約をしている常時50人以上の下請け業者に総括安全責任者(法15)の選任義務、50人未満の下請け業者には安全衛生責任者(法16)の選任の義務がある。したがってこの指導基準の対象事業場の規模においては総括安全衛生管理者や総括安全衛生責任者の選任について法的拘束はないが、下請け業者に安全衛生責任者の通報義務があるので、組織構成上から安全衛生管理者を選任するものとした。

安全衛生管理者は法で定める総括安全衛生管理者と読み替えても良い。事業者の責務を代行するためには、職務上の権限と安全衛生管理者としての労働災害防止の精神に矛盾や対立が生じない立場の者、又は権限を行使できる管理職(工場長、製造部長、管理部長)等、選任に配慮する。なお、この場合安全衛生管理者は労働省令で定める有資格者である必要はなく、事業所を管理する立場の者が適任である。

 

 

 

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