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7. 成果及び反省

 

(1) ギリシャは世界でも有数の海運国であり、本年は欧州をはじめ世界各国の船主が一同に会する国際専門海事展(ポセドニア海事展)がアテネ近郊のピレウスで開催されることから、海事展の会期に合わせてギリシャ・アテネにおいてセミナーを開催した。

また、今回は欧州地域で初めての技術セミナーを開催することから、欧州のプレス関係者をはじめ、欧州全域の海事関係者に案内を行うとともに、ギリシャ及びイギリスの海事関係者に対しては電話によるPR作戦をも実施したが、ギリシャおよびイギリス・アメリカ以外の国からのセミナー参加者は皆無であった。セミナー開催地の近隣諸国から受講に参加してもらうことは、非常に困難であると思われるが、開催場所・時期の選定、PRの改善等新たな対応を考える必要があるものと思われる。

(2) 技術セミナーの成果を実りあるものとするため、現地関係機関の協力が是非とも必要なことから、JAPAN SHIP CENTREのご協力のもとギリシャ船主協会に対し現地後援機関として協力要請を行ったが、セミナーの開催時期の変更が可能であれば協力を惜しまないが、ポセドニア海事展の開催期間中は多忙なため辞退したい旨の回答があった。しかしながら、セミナーの開催時期を変更することについては、会場の手配や案内状の発送事務を考慮すれば時間的に余裕がないことから、現地後援機関への就任を要請することを断念した。

今後技術セミナーを開催するに当たっては、現地協力機関の事情を最優先にして準備作業を進める必要があると考える。

(3) 世界一の造船技術立国としての立場から、石川島重工業(株)の小林学識講師が講演された「高度情報化時代における海運・船舶技術の今後の進むべき方向」に関する一考察は、欧州船主・造船所等の海事関係者にとってかなり斬新な考え方であり、高い関心を抱かせた。

また、日本郵船(株)陣内講師による「機関室の標準化と信頼性」に関する講演は、船主にとって最も関心のあるある事項であり、質疑応答も活発に行われるなど関心の高さがみられた。

(4) 今回セミナーで使用したテキストは、我が国の各種舶用機器に関する最新の技術資料として好評を博し、セミナー終了後に、参加できなかった海事関係者から技術資料の送付希望が多数寄せられた。また、講師と受講者の交流を深めるとともに、我が国舶用機器に関する技術交流を推進するため、講師の写真と略歴を紹介したプロフィールを別冊で作成し、受講者に配布した。

(5) ポセドニア海事展会期中のセミナー開催には、世界の船主、造船所等の海事関係者が一同に会することから多数の受講者を期待したが、現地関係者の協力も得られず、従来に比べて受講者が少なかった。しかしながら、アジア地域での受講者と比較して本講演に対する姿勢が異なり、質疑応答が活発に行われ、予定した時間が若干足りなかった。また、今回は英語が通用する地域で実施したため、講演及び質疑応答は全て英語で行われ、限られた時間を有効に活用することができた。

展示会会期中のセミナーは、受講者数を減少させる一因と思われることから、今後、避ける必要があるものと考える。

 

 

 

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