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4. 低速4サイクル機関のNOx生成低減技術

株式会社マキタ

設計部開発課  牧 俊光

 

1. 調査研究目的

ディーゼル機関のNOx生成濃度低減技術として、燃焼過程における圧力上昇のない等圧燃焼が火炎領域の著しい温度上昇を避け効果的である。燃料噴射時期遅延による方法が(効果)/(費用)が大きく一般的に採用されている。平成8年度、弊社において行った、標準燃料噴射系による燃料噴射時期遅延と圧縮比上昇を組み合わせたNOx低減試験では、燃費を増加することなくNOx生成濃度低減25%を達成した。しかしながら、近年における舶用ディーゼル機関の高噴射圧力・高噴射率の燃料噴射系では、予混合燃焼割合、即ち燃料噴射開始から着火までの時間にシリンダ内に投入される燃料割合が大きく、着火直後に急激な熱発生を伴い、燃料噴射時期遅延を行うと圧縮圧力Pcompと燃焼最高圧力Pmaxの間に圧力変動の"谷"を生じ、理想的な等圧燃焼の達成は不可能であり、NOx低減化は効果的なものとならない。

本調査研究は、プレ噴射を備えた燃料噴射系を調査研究開発し、燃料噴射初期にごく少量の燃料をシリンダ内で噴射着火させ、着火直後の急激な熱発生を抑え、理想的な等圧燃焼を達成する。理想的な等圧燃焼を達成することで、燃費性能の増加を極力抑え、NOx生成濃度の大幅な低減(40%)を図ることを目標とした。

 

2. 実施項目及び経過

本調査研究は、NOx生成低減技術調査研究として、下記項目(図1)を実施した。

(1) 燃料噴射系の設計及びシミュレーション計算

(2) モデル実験

(3) NOx生成濃度への影響度調査

(4) まとめ

 

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図1 実施経過

 

 

 

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