3. ディーゼル機関異常診断
株式会社赤阪鐵工所
ディーゼル技術部 杉本 昭
1. 目的及び背景
ディーゼル機関の異常状態を早期に検出し重大事故を未然に防止して、安全性を高め運航稼働率を上げることは業界の共通した課題である。すでに各種の異常診断装置が開発されているが、いずれも運航中の各部温度や圧力を検出して人工知能により機関性能を予測し異常診断を行うもので、異常診断の精度は必ずしも満足のいくものではない。機関の運転性能解析用に燃焼解析システム等も開発されているが、センサの耐久性の面等で異常診断には実用に耐えられないのが現状である。
本調査研究では、シリンダ内ガス圧力はピストン、連接棒を介してクランク軸に作用して回転力に変換されるので、クランク軸のトルク変動(ねじれ角度)を監視することでシリンダ内ガス圧力の異常状態を検知して、ディーゼル機関の異常診断の精度向上を図ろうとするものである。
2 実施経過
2.1 案施項目
(1) クランク軸ねじれ角度検出装置の設計・試作
(2) 機関の正・異常状態におけるデータの採取
1] 正常運転試験
2] 燃料噴射弁ノズル噴口の目づまり試験
3] 排気弁吹き抜け試験
(3) データ解析
1] 正常時の検出ねじれ角度波形の解析
2] 正常時と異常時の検出ねじれ角度波形の比較検討
3] 異常診断のための検出ねじれ角度波形の最適演算処理方法の検討とその確立
4] 正常時に対する異常時の変化量の定量化
(4) 調査研究のまとめと報告書の作成
2.2 実施期聞
平成9年4月1日〜平成10年1月29日
クランク軸ねじれ角度検出装置の設計・試作作業 平成9年4月〜6月
機関の正・異常状態におけるデータの採取作業 平成9年6月〜9月
データ解析 平成9年6月〜12月
調査研究のまとめと報告書の作成 平成9年12月〜平成10年1月