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まえがき

 

1998(平成10)年12月・ヴィエトナム社会主義共和国ハノイで東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議が開催された。我が国からは小渕首相が出席し、ASEANに対する新たな経済支援を表明したヴィエトナムはアジア経済危機の影響を受けながらも引き続き高い経済発展を目指している。このような情勢にあって、アジア開発銀行が主導してきたインドシナ東西回廊構想も、ESCAPやASEANが提唱してきた関係国の国境通過協定の締結も間近かになり、物流ルートとしてその整備発展が注目されるに至ったこうした状況を踏まえて、社団法人海外運輸協力協会(JTCA)はインドシナ東西回廊整備を支援するため、日本財団の補助を得て、平成11年1月20日、ハノイにおいて日越両国の運輸省の協力により、ヴィエトナム運輸開発戦略研究所と共同でセミナーを開催した。

インドシナ東西回廊は、タイからカンボディアまたはラオスを経てヴィエトナムに至る国際物流および人流のルートとしてその整備がインドシナの経済発展に大きな役割を果たすものとして期待されている。しかしながら、道路、港湾などのインフラ整備には莫大な資金が必要であり、ハード・ソフトの両面で解決しなければならない問題は少なくない。JTCAは平成10年の6月及び11月に、ヴィエトナム、ラオス、タイ・カンボディアに調査団を派遣し、4カ国の政府関係者、国際機関を訪問し、最新情報の収集と必要な意見交換を行った。

セミナーには、ラオス、タイ、カンボディアから政府の担当官を招聘し、ヴイエトナムの担当官とともにそれぞれの国の東西回廊にかかわるインフラの整備状況、計画について紹介したJTCAは調査の結果を報告し、東西回廊の現状と問題点を指摘するとともに東西回廊整備の促進のため、いくつかの提言を行った。セミナーにはヴィエトナム側からは、交通運輸省ティエン次官をはじめとする政府関係者多数が、日本側からは、運輸省国際業務第二課池田総括補佐官、在ヴィエトナム日本大使館高橋臨時代理大使ほか在ヴィエトナムの運輸、物流関係日本企業の代表が参加したほか、在ハノイのカンボディア、タイ両国大使館の書記官、世界銀行代表も参加し、国際的なセミナーとなった。また、活発な意見交換も行われ、参加者から高い評価を得た。

在ヴィエトナム日本大使館からは高橋臨時代理大使に開会のご挨拶を頂くほか、多大なご支援を受けた。また運輸省にはセミナーの企画の段階からご指導とご協力を頂いた。日本財団からは貴重な補助金を頂いた。ここにセミナーの報告を申し上げるとともに、関係者に対して改めて深甚なる謝意を表明したい。

本冊子はセミナーの記録であり、関係者に広く利用して頂ければ幸甚である。

平成11年3月

社団法人 海外運輸協力協会理事長 小和田 統

 

 

 

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