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(FIG-6)

これは、八幡台火山地域の簡略化した地質図でございます。先ず、見て頂きたいのは、この辺に書いているcontour(等高線)でございますが、これが掘削によって葛根田地熱地域の地下で見つかっている花崗岩体の上面深度をcontour(等高線)で表したものです。ですから抗井で見つかっているのは、その一部であって北側あるいは、東側にはもっと拡がっていると思われます。また、この花崗岩体は、この太い線が海水循環500m深度の等温線(iso-therme)でございますけれども、丁度、この花崗岩体の部分と言うのは、200℃の最も高い温度的なアノーマリーに一致しております。

 

(FIG-7)

これは、WD1-A井の坑跡図でございます。これは、平面的な坑跡、それからこれは、垂直的な坑跡が、余りきょうの議論に関係しませんので(省略いたします。)

 

(FIG-8)

WD1-A井は、浅部を掘っている段階と深部を掘っている段階で2種類のリグが使われましたが、これが、深部を掘っている時に使われた、ナショナル・100トゥー・UEというリグでございます。

 

(FIG.-9)

このWD1-A井の掘削には、トップドライブという方式が日本の地熱井としては、初めて利用されました。これが、トップドライブというものでして、通常、掘管(ほりかん)を回転させているのは、ロータリー掘削の場合、外部にターンテーブルがありまして、ここからの回転動力をベルト等で、ケリーという棒に伝えて、そして、掘管を間接的に回すと言う方式のものが主流でございますが、トップドライブと言うシステムは、掘管の軸上にモーターが付いておりまして、直接、回転動力を与えるものでございます。このトップドライブのメリットは、軸上にモーターが有る事によって、掘管の継ぎたして行く時の時間が非常に短時間で済むということでございます。そのために泥水(でいすい)、これは孔内高温の井戸を掘る時には、泥水を廻して孔内を冷やして掘りますけれども、この泥水を殆ど連続止めることなく、孔内では殆ど連続的に循環したままで掘削を進める事ができるというものでございます。ですから、このトップドライブというシステムは石油掘削で開発されたものでございますけれども、むしろ、地熱掘削にもよく適している手法でございます。

 

(FIG-10)

泥水を孔内に循環させますと、もちろん孔内で少しづつ暖まって、また坑口に戻ってまいりますが、その泥水を出来るだけ冷やすために、WD1-A井の掘削では、mud cooler systemというものを3台も備えて掘削に当たりました。

 

(FIG-11)

これが、掘削検層結果の一例でございます。ここにケーシング・プログラムが載っておりまして、ここに地質柱状図が載っております。で、この抗井では、2,860m以深で、葛根田花崗岩をつら抜きました。また、中心線の地層とその下に一部(先第3系)の基盤岩が捉えられております。それから、この花崗岩体は先程申し上げました様にマグマから固結したばかりと言っていい程の若い岩体でございますので、こういった周りの地層に対して、接触変成作用を与えております。例えば、コーディエライトという変成鉱物はここ迄出来ておりますし、バイオタイトという黒雲母という鉱物はここ処まで出来ております。

 

(FIG-12)

この抗井は、先程トップドライブを導入したという事を申し上げましたが、孔内から採れてくる岩屑というのは、基本的にはロータリー掘削と同じでして、cuttings-岩石が粉々に砕けた状態-しか採れません。そのために、それとは別に途中13ヶ所でスポット的にコアを採っております。しかしながら、そのスポットコアというのは、一本の長さがわずか3mでありますので、この4,000m近い井戸に対しては、ごく一部のコアしか得られておりません。

 

 

 

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