日本財団 図書館


後者は、入射波の周期が極めて小さい場合に便利であり、結果として、表面のエネルギは防波堤により完全に阻止される。これらの状態において反射を最大にするために、防波堤は係留策の張力により固定されることが必要である。

現在の検討では、上記の2つの状態は実験的に検証されてきた。前者は防波堤の最大運動の状態に関連していて、波エネルギの実質的な分散に関連する。後者は浮力タンク下に設けられたチャンバーに圧縮空気を防波堤が固定されるまで送り込むことにより得られる。

 

4. 防波堤の実験装置及び系統試験

透明アクリル樹脂でできた防波堤の実験用モデルは直方体の水密の箱で構成されている。浮体となるように側壁が水面下のある深さまで貫通していて中空を形成し、その下端は中央に穴がある厚板により塞がれている。その中空部分は通常水により占められているが、圧縮空気の注入により水を部分的に追い出すことができるようになっている。図-1に示すように、防波堤の運動により引き起こされる波の高さを制限するような装置が陸側の壁に取り付けられている。

実験用モデルは、フルード相似則に則り1/16の縮尺で設定された。後の記述においては、実験用設定の記述を除き、原型の寸法を参照して表現されている。

テストで用いられた内部がガラス製の壁でできている水槽は長方形の断面で幅が0.31m、高さが0.60mで、長さが22mである。水槽の一端に設けられている造波機はピストン型でパソコンにより制御される油圧システムにより駆動される。造波機のすぐ下流にはパドルが、反対側の端には波運動を吸収するフィルターと反射成分を最小限にするスロープが設けられている。

実験装置のスケッチを図-2に示す。ここに、造波機、上流側フィルター、下流側のスロープ、防波堤、波運動を計測する水面計の位置が示されている。水面計1及び2は上流側の入射波及び反射波の計測用であり、水画計3及び4は下流側に位置し、水槽端における伝播してきた波及び反射して来た波の計測用である。水面計のトランスデューサのアナログ信号は、後に15Hzのデジタル信号に変換され、引き続きなされる検討のためにパソコンに記憶される。

テストは0.4mの水深で、防波堤のスウェイが3つの異なる値になるように繰り返して行われた。係留策の長さを調整することにより異なるスウェイが得られた。原型の寸法に対し、0(固定)、0.5m、1.5mのスウェイとなるように調整された。最初の2ケースに対して浮力タンク下に設けられたチャンバーに圧縮空気を防波堤が固定されるまで送り込むテストが繰り返し行われた。その時の空気圧はそれぞれ7.85kPa、10.99kPaであった。この圧縮空気を入れた2ケースにおける各スウェイの値に対して、4種類のスペクトルの入射波が試みられた。

反射係数と共に入射スペクトル及び反射スペクトルがGodaとSusukiの方法で求められた。使用された4種類の入射スペクトル及びその時の伝達されたスペクトルを図3〜6に示す。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION