日本財団 図書館


2.1.2 テクニカルセッション

 

2.1.2.1 OTC 8688

 

Accurate Prediction of Gas Hydrate Suppression Capability of Water-Based Drilling Fluids in Deepwater Drilling

A. T. Hemphill, Baroid Drilling Fluids

大水深掘削における水べース掘削流体のガスハイドレート抑制能力の精確な予測

 

Abstract

掘削作業がより大水深海域に移行するにつれて、掘削流体のガスハイドレート抑制能力をより早く決定する必要性がますます重要になってきている。実坑井におけるハイドレートの生成に関する論文や、ハイドレートの生成がウェルコントロールに与える悪影響に関する論文が発表されている。大水深掘削がガスハイドレートの生成が起こりやすい環境で行われることから、その特有の状況下での掘削流体のガスハイドレートの生成抑制能力を知ることが必要となってくる。

最近、ガスハイドレートの生成を抑制するために一般的に用いられている水べ一ス掘削流体の添加物としての塩分及びアルコールに関し、その含有量による抑制能力を決定するコンピュータモデルが構築された。適用範囲を増やし、メタンガスハイドレートと比重の大きなガスのハイドレートの生成温度をコンピュータプログラムは予測できるようになった。

この情報により、ユーザーは特定の状況下で掘削流体がガスハイドレート生成抑制能力を十分に有しているか否かを即座に判断でき、また掘削流体の配合の調整を即座に決定できるようになった。掘削計画立案時に、このモデルを使用し必要な抑制能力を有する適切な掘削流体組成を決定することにより、ハイドレート抑制能力を「過度に高くする」ことによる不要な支出を無くすことができる。さらに、作業に対して適切な能力を有する掘削流体の組成の幅広い選択が可能となることから、ユーザーは経済性と能力を基に最終的な組成を決定することができる。

 

Formation of Gas Hydrates

好ましい温度と圧力下(一般には低温で高圧)で、天然ガスを水に圧入することで天然ガスハイドレートが生成される。このような状況下では、天然ガスと水は、一般に「クラスレート(clathrates)」と呼ばれているケージ状の構造を形成する。クラスレートは一般に基本的な2種類の構造を持ち、それぞれのガスの中に幾つかの氷を包含している。クラスレートが一度形成されると、その生成温度よりも温度が高くなってもしばらくは安定状態が持続する。輸送管中にハイドレートが生成されることで管が閉塞され、圧力変動が起こると言う天然ガス輸送業界における問題があったため、過去60年間にわたって天然ガスハイドレートに関する多くの研究がなされてきた。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION