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(1)一般事情
 パラグアイ共和国は、南米大陸の中央部に位置し、北はボリビア、東はブラジル、西南はアルゼンチンに囲まれた平原内陸国である。
 国の中央部をパラグアイ川が南北に流れ、西側は乾燥した大平原であり、東側はブラジル高原から続く森林の多い丘陵地帯である。
 気候は亜熱帯性気候で、1月の平均最高気温は34.3℃、7月の平均最低気温は14.0℃である。
 首都アスンシオンの1月の平均気温は30℃、7月の平均気温は17.7℃、年間降水量は1,316?である。
 国土面積は406,752?2(日本の1.08倍)、人口は503万人(96年)、首都アスンシオンの人口は72万人(82年、首都圏)である。
 民族は、白人とインディオの混血人が97%を占め、残りの3%が原住民、欧州系移住民、東洋系移住民である。
 言語は、スペイン語およびグアラニー語が公用語であり、原住民の言語であるグアラニー語は広く使用されている。
 信教の自由は憲法で保障されており、国民の約90%はカトリック教徒である。
 パラグアイは、1811年にスペインから独立している。
 1864〜70年のブラジル・アルゼンチン・ウルグアイ連合軍を相手とする三国戦争に敗れ、国土が半減し、人口は133万人から22万人に激減した。
 さらに、1932〜35年にはボリビアとの間でチャコ戦争が勃発し、これに勝利して紛争地域の大部分を確保した。
 その後、1954年からは35年間にわたり軍事独裁政権が続いたが、93年に至り初の文民政権が発足している。
 外交では、中南米諸国、特にメルコスール(南米南部共同市場)諸国との関係強化を中心に、積極的な首脳外交を展開し、国際社会における民主国家としてのイメージの普及を目指している。
 パラグアイは、農業国であり綿花および大豆の輸出が総輸出額の約50%を占めるため、経済成長は、綿花および大豆の生産状況と国際価格に大きく左右される。パラグアイの97年経済の伸びは、大豆の農作と公共投資の拡大が下支えして前年を上回っている。
 政府の市場介入の強化策は、引き続く金融不安とインフレを抑制し、財政赤字幅は拡大したが低水準(GDPの1.5%)に収まっている。経常赤字は、貿易赤字の大幅増加で拡大している。
 なお、日本の援助は76年以降、上国間援助で最大となっている。
 世銀の推定によれば、1995年におけるパラグアイの国民総生産(GNP)は、1993〜95年の平均価格をベースにして算定すると81億5,800万ドルであり、国民1人当り1,690ドルに相当する。
 1985〜95年の期間に国民1人当りの実質GNPは、年平均1.1%の割合で増加したものと推定される。この期間の人口増加率は・年平均2・7%と高くなっている。
 パラグアイの実質国内総生産(GDP)は、1985〜95年の期間に年平均3.5%の割合で増加'しており、96年は1.3%の成長率となっている。
 農業部門(牧・林・漁業を含む)は、1996年にGDPの26.5%を占め、労働人口の約34.0%がこの部門に従事している。
 主要換金作物は、大豆(96年全輸出収入の31.1%)および綿花(同20.7%)であり、その他の主要作物としては、砂糖きび、カサバ、小麦、とうもろこしなどがある。
 木材および木材製品は、96年全輸出収入の9.0%を占めている。
 家畜、特に牛および豚の飼育は重要であり、食肉は96年全輸出収入の4.2%を占めた。
 世銀の推定によれば、1985〜95年の期間に農業部門のGDPは、年平均3.7%の割合で増加しており、96年は1.3%の増加を記録している。
 工業部門(鉱業、製造業、建設業および電力業を含む)は、1996年のGDPの25.3%を寄与しており、労働人口の22.5%がこの部門に従事している。
 世銀の推定によれば、1985〜95年の工業部門のGDPは、1975〜84年の平均年間成長率8.5%に比べ、年平均2.7%と大きく低減している。
 1996年の工業部門のGDPは、僅か0.7%の増加に過ぎない。
 パラグアイには、商業的開発可能な鉱物資源は殆んどなく、この部門には労働人口の僅か0.2%が従事しているに過ぎない。
 鉱産物は石膏、陶土、石灰石ぐらいであるが、多数の外国企業によって金および原油埋蔵の探査が行われており、1994年には天然ガスが発見されている。
 製造業は、1996年にGDPの14.3%を占めており、労働人口のll.0%がこの部門に従事している。
 付加価値の点からみると、食料、飲料およびタバコが、製造業の全生産高の約50%を占めている。
 その他の主要分野は、木材および木製品、繊維(主として木綿)、衣類および皮製品、化学製品、石油、石炭、ゴムおよびプラスチック製品、非金属鉱物製品、紙、印刷物、出版物、金属製品、機械類などである。
 1985〜95年の期間に製造業のGDPは、年平均2.7%の割合で増加しているが、96年には2.2%の減少となっている。
 パラグアイのエネルギー源は、主として水力発電に依存している。
 石油および石油製品の輸入は、1996年には輸入総額の8.3%を占めた。
 エチルアルコールは、砂糖きびから生産され、自動車燃料の主要成分として広く使われている。

 

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