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(1)一般事情
 カナダは、北アメリカ大陸北部に位置する連邦制にもとづく立憲君主国で、イギリス女王を元首とする、イギリス連邦の一構成国である。
 東西を大西洋、太平洋にはさまれ、北は北極海、北西はアメリカ合衆国のアラスカ州、南は合衆国本土に隣接している。
 国土面積は、9,976,139?2(日本の26.4倍)で、世界第二の面積をもっている。
 人口は、3,037万8,000人(97年末)で、首都をオタワ(人口95年7月現在、102万6,000人)におく。
 言語は英語(59.9%)、フランス語(24.1%)が公用語である。
 人種は、各国の移民が入ったため多種であるが、約40%がイギリス系、30%はフランス系で、そのほかドイツ人、ウクライナ人、イタリア人、オランダ人、アジア人などと原住民(インディアン・エスキモー)がいる。
 宗教は、カナダ国民の約半分近くがローマン・カトリック教である。
 カナダの国土は広大であるが、大部分は寒冷地で、未調査の地も多い。
 全土の約3分の1近くがツンドラ地帯、約半分が森林地帯である。
 地勢は概ね次の7つに分けられる。
 (1)コルジェラ山地帯。太平洋岸に走る5,000m近い高山の多い、けわしい山地で大氷河がある。海岸は沈降海岸で良港湾が多い。 (2)台地状平原。コルジェラ山地帯の東には広大な台地状の平原があり、北部は森林帯、南部は世界的小麦の産地であり、最近では油田の開発も進められている。 (3)カナダ楯状地。カナダ全土の半分の面積を占める。ハドソン湾を抱くV字状陸塊で、多くの氷河湖がある。金属資源が豊富であり、開発が進められている。 (4)ハドソン湾低地。ハドソン湾南部の低地で亜寒帯性気候の低湿地である。 (5)セントローレンス低地。セントローレンス河沿岸から5大湖にかけての地帯で、土壌が肥沃であり、気候もよく酪農・果樹園、タバコの栽培が行われている。 (6)東部沿岸地方。アメリカのアバラチア山脈に続く丘陵地で森林が多い。 (7)北極海諸島。ツンドラで寒気がきびしく、地下資源の開発は行われていない。
 カナダは、イギリス女王を元首とする連邦制に基づく立憲君主国で、総督が女王を代表している。
 現内閣は、雇用創出を最重要項目に掲げると共に、財政赤字削減にも積極的に取組んでいる。
 一方、ケベック州の主権獲得(分離独立)の動きに対する対処も重要課題となっている。
 外交面では、緊密な米・加関係を背景にしてNATO、CSCE、国連等マルチの場を活用した外交を展開しており、また、平和維持活動も積極的に推進している。
 カナダの経済は、第2次大戦後・米国と共に70年代中頃まで順調な経済発展が続いた。
 しかし、70年代後半に至り成長が鈍化、国民一人当りの所得の伸びに停滞がみられ、さらに82年に大不況を経験するなど、80年代前半にかけて生活水準の向上がみられず、経済の不振が続いた。
 その後、83年から始まった景気上昇は80年代を通じて持続したが、90年代に入り再び経済は低迷、92年後半から徐々に景気は回復し、その後順調に成長を続けている。
 カナダ経済は米国経済の約11分の1の規模であり、米国から見ればカナダは米国経済の一部であるとの見方が通用しているように、カナダ経済は北米市場の中で、米国経済と一体をなしている。
 89年に米加自由貿易協定が発効し、94年には北米自由貿易協定(NAFTA)が発効し、米加両経済の一体化から、北米市場全体の統合が図られている。
 世銀の推定によれば、94年国民総生産(GNP)は、5,699億4,900万USドル、1人当りでは19,570USドルである。
 また、85〜94年の期間のGNPは、年率0.4%の割合で増加しており、この間の人口は年率1.3%の割合で増加している。
 国内総生産(GDP)は、90〜94年の期間に年率1.4%の割合で増加している。
 GDPは、92年以降プラス成長に転じており、その成長率は94年4.1%、95年2.3%、96年1.5%、97年2.7%を記録している。
 政府の重要課題である財政赤字の削減は着実に進展しており、96年度の財政赤字は前年度の286億カナダドル(GDP比3.6%)から160億カナダドル(同2.0%)以上に大きく削減されており、当初目標3.0%を大幅に下回っている。
 GDPの産業部門別構成(96年)は、農林水産業が2.6%、鉱業が4.1%、製造業が17.3%、サービス・その他が76.0%となっている。
 農林水産業部門には、労働人口の4.0%が従事している。
 主な農作物は大麦、小麦などの穀物であるが、家畜(主として牛、豚)、木材と共に重要な輸出品となっている。
 また、カナダは林産物の世界最大の輸出国であり、漁・海産物および毛皮も世界有数の輸出国である。
 農業生産高は、1980〜90年の期間は2.4%の成長を遂げていたが、91〜93年は減少し、94年以降再び成長している。
 工業部門(鉱業、製造業、建設業、電力を含む)は、92年GDPの30.3%を寄与し、労働人口の22.2%が、この部門に従事している。
 生産高は、90,91年はマイナス成長であったが93年以降は成長を続けており、95年は8.4%の成長率を記録している。
 鉱業は、96年GDPの4.1%を寄与し、労働人口の1.3%がこの部門に従事している。
 亜鉛、アスベストは世界第1位の生産量を誇っており、ニッケル、カリ、ウラニウムの生産量も同第2位である。
 このほか、金、銀、銅、コバルト、鉛も開発されている。
 また、石油、天然ガスの埋蔵もアルバータ、大西洋海岸沖、アークティック島で確認され、開発が進んでいる。
 鉱業のGDPは、85〜92年の期間に年率O.8%の割合で成長している。
 製造業は、96年GDPの17.3%を寄与し、労働人口の14.6%がこの部門に従事している。
 主な生産品目(94年)は、輸送機械(全体の21.6%)、食品(12.0%)、紙類(7.3%)、化学品(7.1%)、機械(7.0%)、金属類(6.8%)などである。
 電力は、全供給量の約70%が水力発電力で、残りが火力発電、原子力発電に依っている。

 

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