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(1)一般事情
 スーダン共和国は、アフリカ大陸の北東部に位置し、北はエジプト、東は紅海およびエチオピア、西は中央アフリカ共和国、チャド、リビア、南はケニア、ウガンダおよびザイールと接している。
 国土面積は、2,505,813k?(日本の約6.63倍)、人口は2,729万人(96年央推定)で、首都をハルツーム(市部人口92万人)におく。
 住民は、北部および中部地方はアラビア人、ヌビア人種が多く、南部地方はナイル川流域にナイル人種や黒人が多数居住している。
 言語は、公用語のアラビア語が住民の約51%によって使用されているが、英語も広く一般に通用している。
 宗教は、北部地方にはイスラム教が多く、南部地方はキリスト教徒又は原始宗教信徒である。
 気候は、紅海沿岸地方の海洋性気候以外は、全国土が熱帯性大陸気候である。
 気温は年間を通じて高温であり、5月、6月が最も暑い季節である。
 北部の砂漠地方は別として、北から南へ下るに従い降水量は多くなる。
 内陸部は夏が雨季、紅海沿岸地方は冬が雨季となっている。
 スーダンは、北部のイスラム教徒地域と南部のキリスト教地域との内戦が続いており、南北の協調が、最も重要な政治的課題となっている。
 対外的には、ムバラク・エジプト大統領暗殺未遂に関与したとして、1996年4月に国連による外交制裁を受け、97年11月には米国の対スーダン経済制裁を受け、外交的孤立を深めている。
 経済面では、例年の貿易大幅赤字、巨額の対外累積債務(96年末約170億ドル)、南部内戦・自然災害等による国内難民(94年7月現在、推定約322万人)等により、経済は困難な状況にある。
 世銀の推定によれば、1990年のスーダンの国民総生産(GNP)は、10,107百万ドル(88〜90年の平均価格により算定)で、一人当りでは400ドルに相当する。
 1980〜90年の期間、GNPは年率0.3%の割合で増加しているが、一人当りのGNPは年率2.4%の割合で減少している。
 これは、1985〜95年の期間における人口が、年率2.2%の割合で増加していることによる。
 国内総生産(GDP)は、79〜88年度の期間は年率1.5%の割合で増加、89年度は同1.5%の減少、90年度は同0.7%の増加を記録している。
 スーダンは、農業が基幹産業であるが、天候の状況により主要作物である綿花の生産量なども大きく左右される。
 スーダンは、労働人口の約68%〈95年)が農業(林・漁業を含む)に従事し、農業部門はGDPの約34%(92年)を占め、主要換金作物である綿花は、輸出総額の22.2%(96年)を寄与している。
 主要食糧作物は、ソルガム(主食)、小麦、カサバ、とうもろこしなどであるが、コーヒー、タバコ、米および砂糖の国内自給の達成を目指して努力している。
 国連FAOの推定によれば、1985〜95年における農業生産は、年率1.7%の割合で増加している。
 主要輸出作物は、綿花、落花生、ソルガムなどであり、特に綿花は同国の最も有力な外貨獲得源となっている。
 森林資源では、ゴム生産(90年40,000トン)、木材生産などがある。
 牧畜業は、家畜保有数も年々増加しており、食肉、羊毛などのほか、皮革、皮製品も外貨獲得源として輸出されている。
 スーダンの工業(鉱業、製造業、建設業および電力等を含む)は、GDPの約17%(92年)を寄与し、労働人口の約7.9%(83年)が、この部門に従事している。
 1980〜90年における工業生産は、年率2.8%の割合で増加している。
 鉱物資源では、石油、大理石、雲母、クロム鉱、石膏、金など多種類にわたって埋蔵が確認されているが、輸送設備や開発資金の不足のため、その多くは未開発の状態にある。
 サウジアラビアとの共同で紅海沿岸の亜鉛、銀および銅の開発計画も推進されている。
 また、紅海側の丘陵で高品質の金の埋蔵(推定15万トン)も発見されている。
 スーダンの製造業は、GDPの9%(92年)を寄与している。
 農作物の加工工業、特に精糖、および繊維織物、セメント、精油業などが主なものである。
 石油は、南西部地方の2つの油田から高品質の原油が採掘されている。
 この部門には、全労働人口の約4.6%(83年)が従事している。
 スーダンの電力は、火力・水力発電所から供給されているが、これにかかる燃料の輸入総額の23%(91年)に達している。

 

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