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5 クリーンバラスト確保のための作業要領

 (注) 本要領は、非持続性油を輸送するタンカーがMARPOL73/78条約に規定するクリーンバラストを確保するために作成したものです。

 クリーンバラスト確保のために以下の作業を実施する場合には、「小型タンカーのタンク清掃とガスフリー作業の安全指針(抄)」(略)などを考慮して、十分な安全対策を講じなければなりません。
また、運輸省令で定めた作業を行ったときは、その都度油記録簿にその旨を記載しなければなりません。

(1) 作業計画の決定及び周知
揚荷終了後の空船航海に先立ち、その航海中に予想される気象・海象の状況及び自船の諸事情を勘案のうえ、航海の安全のために必要なクリーンバラストの取り扱いに関する次の各事項についての作業計画を立て、これを各作業担当者に周知徹底させます。
 (1) クリーンバラストの容量とその収容に使明するタンク配置
 (2) 洗浄水の推定量とその収容に使用するスロップタンクの指定
 (3) 漲水・洗浄・排出に使用するタンク、配管、ストレーナー及びポンプの系統とこれらに関する作業手順
 (4) 各作業の人災、火災及び爆発に関する安全対策に必要な要項

(2) 残油回収作業
 (1) 揚荷終了に当たり、クリーンバラスト漲水予定タンク内の残油をできる限り回収すること。
 (2) 揚荷終了後、クリーンバラストの取り扱いに使用する配管、ストレーナー及びポンプ内の残油を残油回収装置等を使用して回収すること。

(3) スロップタンクの準備
前荷がガソリン(ナフサを含む。以下同じ。)であったタンクをスロップタンクとして使用するときは、あらかじめタンク内が乾燥するまで十分にガスフリーを行います。

(4) バラスト漲水タンクの清浄化
〔ガソリンの場合〕
 (1) ファン又はウインドセール等により、タンク内のベンチレーションを十分に行うこと。
 (2) ガス検知を行い、タンク内が安全であることを確認すること。
 (3) タンク底部等に残る残油を十分に除去すること。
 (4) 上記ベンチレーションを実施している間、当該タンクの関連配管の弁を開放し、管内のベンチレーションも併せて行うこと。

〔灯油の場合〕
 (1) ガス検知を行い、タンク内が安全であることを確認すること。
 (2) タンク底部等に残る残油を除去すること。
 (3) ハンドホース等適当な方法により、タンク側壁、構造物、底部等を漏れなく洗浄すること。
 (4) 洗浄は、タンク底に洗浄水がたまらないようカーゴポンプにより、連続的に吸引し、スロップタンクヘ移送しつつ行うこと。
 (5) タンクの洗浄が終了したら、タンク底部等に残っている残液を除去し、スロップタンクに収容すること。

(5) ライン洗浄
 (1) バラスト漲排水に用いる配管、ストレーナー及びポンプの洗浄を行い、使用した洗浄水はスロップタンクに移送すること。また船底弁より海水を吸引する場合には、ポンプ吸引側の圧力が負圧になったことを確認しながら徐々に船底弁を開くこと。
 (2) ライン洗浄に当たっては、特に配管の枝管部分や先端弁(マニホールド)の部分のようなデッドエンド部分(配管が行き止まりとなっている部分)に残留している油分の除去に努めること。
 (3) ライン洗浄が終了したならば、配管、ストレーナー及びポンプ内の残液を残油回収作業の場合と同様の方法によって回収し、これをスロップタンクに収容すること。

(6)バラスト漲水
 (1) 洗浄済みの配管及びポンプを使用して、所定のタンクにバラストを漲水する。
 (2) 漲水するバラストは、可能な限り清浄な海域のものを選ぶこと。

(7) バラスト排出
 (1) バラスト水面の油膜の状態を確認すること。油膜が確認された場合には、当該タンクのバラストは海上に排出せず陸揚げすること。
 (2) 排出の開始に当たっては、排出に使用する配管、ストレーナー及びポンプ内に付着している恐れがある灯軽油分によってバラストが汚染されることを防ぐため、排出初期の少量をスロップタンクに移送すること。
 (3) バラスト排出管を用いて喫水線より上の位置からバラストを海上に排出すること(ただし、排出直前にバラストの表面を点検し油膜が発生していないことを確認した場合には、港内又は沖合係留施設において喫水線下から排出することができ、また洋上においては重力排出に限り喫水線下から排出することができる)。
 (4) バラスト排出中は海面の監視を行い、万一海面に油膜が発生するのが認められクリーンバラストの排出でないことが明らかになったときは、直ちにバラストの排出を中止し、当該タンクのバラストは海上に排出せず陸揚げすること。


 

 

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