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12 雑則(法第7章)
(1) 船舶等の廃棄の規則(法43)

(1) 廃棄の禁止
 船舶、海洋施設又は航空機(以下「船舶等」という。)を海洋に捨てることは、原則として禁止されている。(法43-(1))
 ただし、水深1,500メートル以上の海域又は水深1,500メートル未満の海域のうち運輸大臣が指定する海域(未指定)に、船舶等の内部にある残油等が流出しないようにし、かつ、その船舶等が浮き上がらず、又は移動しないような方法で海底に沈める場合は廃棄が認められている。(令16)

(2) 海上保安庁長官による廃棄計画の確認
 上記海域に最大径12メートル以上の船舶等を捨てようとする者は、その廃棄計画が上記廃棄基準に適合していることについて、あらかじめ確認の申請書を提出して、海上保安庁長官の確認を受けなければならない。海上保安庁長官は、その計画が廃棄基準に適合していることを確認したときは船舶廃棄確認済証を交付し、その交付を受けた者は、これを当該船舶等の内部に備え置かなければならない。

(2) 油又は有害液体物質による海洋汚染防止のために使用される薬剤についての使用の規制(法43の4-(1))
油処理剤及び油ゲル化剤は、規則第37条の8に定める基準に適合するものでなければ使用してはならない。

(3) 海洋汚染物質の輸送方法の基準(法43の5-(1)) 
 海洋汚染物質(容器及び包装に収納されて輸送される有害物質)を輸送する場合には、輸送による海洋汚染を防止するための措置として、その容器及び包装、表示、積載方法等に関する輸送方法の基準が義務付けられる。
 海洋汚染物質は、法第38条第1項第4号で規定されている物質(事故等により海洋へ排出された場合に、海上保安機関への通報が義務付けられている物質)を指しているが、これは、規則第30条の2の3に定める有害液体物質のA類物質等と同程度の有害性を有する物質で、船舶による危険物の運送基準等を定める告示(昭和54年運輸省告示第549号)の別表第1から第8に掲げる物質のうち肩文字「P」又は「PP」が付されているもの及びこれらの物質の混合物(平成4年運輸省告示第323号に定める約530物質)である。
 海洋汚染物質の輸送方法の基準(規則37の9-(1))として義務付けられる事項は次のとおりであるが、この基準は海洋汚染物質を輸送するすべての船舶(外航・内航を問わず)に適用され、遵守しない者に対しては改善命令(法43の5-(2))が発せられる。
 なお、海洋汚染物質の収納、標札の貼付及び船積書類の作成等は、輸送前の下準備であるので、荷送人が責任をもって措置を講じた後、輸送を依頼するようにすること。

(1) 次の事項に関して輸送前に確認し、適正なもののみ輸送すること。

イ. 容器及び包装に関する次の事項
強度、耐久性、収納状態の適否、品名の表示及び標札(規則第4号の4様式。下図)の有無
ロ. 輸送する海洋汚染物質の品名、「MARINE POLLUTANT」の文字、輸送量、容器及び包装の個数等必要事項が記載された船積書類の有無

(2) 船内の積載場所は、できる限り甲板下とすること。
(3) 船内の積載場所等を記載した輸送書類を作成し、輸送中は船内で保管すること。
(4) 容器及び包装の破損により海洋汚染物質が漏洩した場合には、安全上支障のない限り、海洋への排出防止措置(漏洩物の回収・排出経路の遮断等)又は汚染を最小限に抑えるための措置(水による稀釈等)を講じること。

規則第4号の4様式

(4) 総トン数の適用区分(法51の3)
  この法律を適用する場合の総トン数は、船舶の区分に応じて次表のとおりとなっている。

(5) その他
 海洋の汚染又は海上災害の防止対策を効果的に推進するため、次のような事項が規定されている。
 ・排出油防除計画(法43の2)
 ・排出油の防除に関する協議会(法43の3)
 ・港湾における廃棄物処理施設等の整備計画(法44)
 ・海上保安庁長官による海洋の汚染状況の監視等(法45)
 ・水路業務及び気象業務の成果の活用(法46)・関係行政機関の協力(法47)
 ・運輸大臣及び海上保安庁長官による報告の徴収(法48-(1)〜(3))
 ・運輸大臣及び海上保安庁長官による船舶又は海洋施設の立入検査等(法48-(4)〜(8))
 ・運輸大臣及び海上保安庁長官による指導、助言及び勧告(法49の2)
 ・技術の研究及び調査の推進等(法51)・国際協力の推進(法51の2)
 

 

 

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