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3) 船舶発生廃棄物汚染防止規程(法10の2)
 総トン数400トン以上の船舶及び最大搭載人員(最大搭載人員の定めのない船舶にあっては、これに相当する搭載人員)15人以上の船舶の所有者は、船舶発生廃棄物汚染防止規程を定め、これを当該船舶内に備え置き、又は掲示しておかなければならないこととなっている。また、船長は、船舶発生廃棄物防止規程に定められた事項を、当該船舶の乗組員及び乗組員以外の者で当該船舶に係る業務を行う者のうち船舶発生廃棄物の取扱いに関する作業を行うものに周知させなければならない。
 船舶発生廃棄物汚染防止規程とは、船舶発生廃棄物(当該船舶内にある船員その他の者の日常生活に伴い生ずるごみ又はこれに類する廃棄物、輸送活動、漁ろう活動その他の船舶の通常の活動に伴い生ずる廃棄物(船舶の通常の活動に伴い生じた油等以外の油等を焼却したもの、生鮮魚及びその一部、汚水並びに水底土砂を除く。))の取扱いに関する作業を行う者が遵守すべき事項その他船舶発生廃棄物の不適正な排出の防止に関する事項を定めるもので、具体的には次のような項目がある。(規則12の3の9)

(1) 当該船舶の乗組員及び乗組員以外の者で当該船舶に係る業務を行う者のうち船舶発生廃棄物の取扱いに関する作業を行うもの(以下「乗組員等」という。)に対する船舶発生廃棄物汚染防止規程に定められた事項の周知及び教育を担当する者の氏名

(2) 船舶発生廃棄物汚染防止規程の変更の際の手続に関する事項

(3) 船舶発生廃棄物の収集、貯蔵、処理及び排出の際に船舶発生廃棄物の不適正な排出の防止のためにとるべき措置に関する事項

(4) 粉砕装置、焼却設備その他の船舶発生廃棄物の不適正な排出の防止のための機器の取扱い、点検及び整備に関する事項

(5) 船舶発生廃棄物記録簿への記載、船舶発生廃棄物記録簿の保管その他の船舶発生廃棄物記録簿に関する事項

(6) 船舶発生廃棄物の受入施設の利用に関する事項

(7) 船舶発生廃棄物の不適正な排出の防止のための乗組員等が遵守すべき事項の周知及び教育に関する事項


(4) 船舶発生廃棄物記録簿(法10の3)
 船舶発生廃棄物記録簿は、廃棄物の取扱いに関する作業を記録するための一種の帳簿であり、廃棄物の取扱いに関する作業を逐一記録させることにより廃棄物の排出が適正に行われるよう作業者に細心の注意を喚起させることを主な目的としている。また、作業が適正に行われたか否かを後日確認するための重要な資料ともなる。ただし、内航船については、途中発生する廃棄物については、通常入港した際に旅客や貨物と一緒に陸揚げしてしまうのが一般的であること等から、国際航海(一国の港と他の国の港との間の航海をいう。)に従事する船舶のうち総トン数400トン以上の船舶及び最大搭載人員(最大搭載人員の定めのない船舶にあっては、これに相当する搭載人員)15人以上の船舶(海底及びその下における鉱物資源の掘採に従事しているものを除く。)の船長に対して船舶発生廃棄物記録簿の船内への備え付けを義務付けている。
 なお、船舶発生廃棄物記録簿の保管期間は2年間である。
 船舶発生廃棄物記録簿を記載する場合の注意事項は次のとおりである。

(1) 規則12の3の11の表の上欄に掲げる作業を行った場合に同表の下欄に掲げる事項について記載しなければならない。

(2) 完了した作業については、当該作業の担当者が必要な事項を記載し署名しなければならない。また、記載が完了したページには、船長が日付を付して署名しなければならない。

(3) 容易に消せない筆記用具(万年筆、ボールペン等は可、鉛筆は不可)により記載し、誤って記載した場合には誤記内容が確認できるよう抹消し、当該作業の責任者が署名したうえで正しい記載を追加しなければならない。

(4) 日本語に加え英語又はフランス語により記載しなければならないこととなっているが、この場合であっても時間、単位等を表す数字、記号等(例えば、16時30分を「1630」、40時間を「40h」、北緯5度45分を「5-45N」等記載すること)については、単にその数字、記号等を記載するだけでさしつかえない。

(5) 作業が同一港内で同一の廃棄物について、反復かつ継続して行われる場合にあっては、当該一連の作業について、一日を最大限として一括して記載することも、「その都度」記載したものとみなして取り扱ってさしつかえない。

(6) バルティック海域、北海海域等条約附属書V第5規則に定める特別海域内で食物くずを令別表第2の2に定める焼却式排出方法で排出する場合、規則第1号の5の5様式の種類6の欄ではなく、種類5の欄に記載しなければならない。また、その際、食物くずのみ焼却したことを「焼却される廃棄物の概量」の欄に明記しなければならない。

 

 

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