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(7) 油濁防止規程(法7)

 日本船舶であって総トン数150トン以上のタンカー及び総トン数400トン以上のノンタンカー(いずれも内航非自航船舶又は係船中の船舶は除く。)の船舶所有者は、油濁防止規程を定め、これを船舶内に備え置き、又は掲示しなければならないこととなっている。油濁防止規程は、油濁防止管理者(油濁防止管理者が選任されていない船舶にあっては、船長。以下同じ。)の職務に関する事項及び油の排出に関する作業要領その他油の不適正な排出の防止に関する事項を定めるもので、具体的には次のような項目がある。(規則11の2)

(1) 油濁防止管理者の選任及び解任の手続き、職務並びに権限に関する事項(油濁防止管理者を選任すべき船舶に限る。)

(2) 油濁防止規程の変更の際の手続に関する事項

(3) 次の場合において油の不適正な排出の防止のためにとるべき措置に関する事項(タンカー以外の船舶にあっては、イ.からホ.までに掲げる事項に限る。)

イ .燃料油タンクヘの水バラストの積込み及び当該燃料油タンクからの水バラストの排出又は処分
ロ. 燃料油タンクの洗浄
ハ. 油性残留物の処分
二. ビルジの排出又は処分
ホ. 燃料油及びばら積みの潤滑油の補給
へ. 貨物油の積込み、積替え及び取卸し
ト. 貨物艙への水バラストの積込み及び当該貨物艙からの水バラストの排出又は処分
チ. 貨物艙の原油洗浄(貨物艙原油洗浄設備を設置するタンカーに限る。)
リ. 貨物艙の洗浄
ヌ. スロップタンクからの水の排出

(4) ビルジ等排出防止設備、水バラスト等排出防止設備、貨物艙原油洗浄設備その他の油の不適正な排出の防止のための機器の取扱い、点検及ぴ整備に関する事項

(5) 油記録簿への記載、油記録簿の保管その他の油記録簿に関する事項

(6)廃油処理施設の利用に関する事項

(7)油の不適正な排出の防止のため船員の遵守すべき事項の周知及び教育に関する事項
 船舶所有者は、乗組員や、タンククリーニング業者等の乗組員以外の者で油の取扱いに関する作業を行う者が常時油濁防止規程に接することができるように、当該規程を船舶内へ備え置き又は掲示しておかなければならない。また、油濁防止管理者は、当該規程に定められた上記事項を乗組員その他の者に周知させなければならない。
 本規程の適用船舶は、平成5年4月4日よりそれまでの総トン数200トン以上のタンカーから総トン数150トン以上のタンカー及び総トン数400トン以上のノンタンカーに拡大されたものである。


(8)油濁防止緊急措置手引書(法7の2)

 平成5年4月4日より、総トン数150トン以上のタンカー及び総トン数400トン以上のノンタンカー(いずれも内航非自航船又は係船中の船舶を除く。)の船舶所有者は、油濁防止緊急措置手引書を作成し、これを船舶内に備え置き、又は掲示しなければならない。(技術基準34)
 同手引書には、船舶からの油の不適正な排出があり、又は排出のおそれがある場合において、当該船舶内にある者が直ちにとるべき緊急措置に関する事項、具体的には、連絡先のリスト、通報の際に遵守すべき事項、油防除のためにとるべき措置に関する事項などが記載されていなければならない。(技術基準35)


(9)油記録簿(法8)

 油記録簿は、油の取扱いに関する作業を記録するための一種の帳簿であり、油の取扱いに関する作業を逐一記録させることにより油の排出が適正に行われるよう作業者に細心の注意を喚起させることを主な目的としている。また、作業が適正に行われたか否かを後日確認するための重要な資料ともなる。このような観点から、すべてのタンカー及び総トン数100トン以上のノンタンカーの船長に対して油記録簿の船内への備え付けを義務付けている。ただし、ノンタンカーでビルジが生ずることのないものは油記録簿を備え付ける必要はなく、また、引かれ船等にあっては、船長と認められる者が乗り込んでおらず、かつ、船舶内を設置場所にすると紛失のおそれもあることから引かれ船等の所有者がその事務所に備え付けなければならないこととなっている。
 なお、油記録簿の保存期間は3年間である。
 油記録簿を記載する場合の注意事項は次のとおりである。

(1) 油記録簿への記載は、規則第1号3様式又は第1号の4様式(ノンタンカーにあっては第1号の3様式のみ)備考の表に掲げる作業を行った場合に該当する符号を記入し、さらに作業の詳細について時系列に該当する番号及び必要な詳細事項を記載しなければならない。

(2) 完了した作業については、速やかに当該作業の責任者(油濁防止管理者の選任されている船舶にあっては油濁防止管理者、その他の船舶にあっては船長をいう。以下同じ。)が日付を付して署名しなければならない。また、記載が完了したページには、速やかに油濁防止管理者(油濁防止管理者の選任されている船舶に限る。)及び船長が署名しなければならない。

(3) 備考の表に掲げる作業以外の作業であって、当該作業の責任者により記録が必要と判断された事項については、機関区域における作業にあっては符号(I)、貨物油及び水バラストに係る作業にあっては符号(O)を記入したうえで、詳細事項を記載しなければならない。

(4) 油記録簿への記載は、容易に消せない筆記用具(万年筆、ボールペン等は可、鉛筆は不可)により記載し、誤まって記載した場合には誤記内容が確認できるよう一本の棒線により抹消し、当該作業の責任者が署名したうえで正しい記載を追加しなければならない。

(5) 油の取扱いに関する作業が受入施設を利用して行われた場合は、その都度、当該利用に関する事実を証する書類(記載事項(i)沿岸受入施設への移し入れ日.、(ii)移し入れ作業の行われた場所、(iii)移し入れた廃油の種類、(iv)移し入れ量)を油記録簿に添付しなければならない。

(6) 国際海洋汚染防止証書を受有する船舶については、日本語に加え英語又はフランス語により記載しなければならないこととなっているが、この場合であっても時間、単位等を表す数字、記号等(例えば16時30分を「1630」、40時間を「40h」、100立方メートルを「100m3」、北緯5度45分を「5-45N」、1Cタンクを「1C」、毎時1海里の速度を「1kt」等と記載すること)については、単にその数字、記号等を記載するだけで、また、「はい」又は「いいえ」で答えるものについては、「yes」若しくは「oue」又は「no」若しくは「non」を記載するだけでさしつかえない。

 

 

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