日本財団 図書館


(4) 油及び水バラストの積載の制限(法5の3)
 船舶の船首隔壁より前方のタンクに油を積載すること、分離バラストタンクを設置したタンカー等の貨物艙に水バラストを積載すること及び船舶の燃料油タンクに水バラストを積載することは次のように制限されている。

(5) 分離バラストの排出方法(法5の4)
 分離バラストタンク(SBT)からの水バラストの排出は、海面より上の位置から行わなければならないこととされている。
 ただし、排出直前にSBT内の水バラストが油により汚染されていないことを確認した場合には海面下に排出することができるとされている。
 (船舶が港及び沿岸係留施設以外にある場合にはポンプを使用しないで行ういわゆる重力排出に限られる。)

(6) 油濁防止管理者(法6)
 貨物油の積込み・移替え、取卸し、水バラストの積込み・排出等の作業の際に、ビルジ等排出防止設備、水バラスト等排出防止設備及びこれらに関連するポンプ、バルブ等を順序正しく的確に操作し、作業を進めていくとともに、これらの設備の保守・点検等に関する業務を実施することは、船舶からの油の不適正な排出を防止するためには重要なことである。こうした観点から、船舶所有者は、船長を補佐して油の不適正な排出の防止に関する業務を統括管理させるための専門家として油濁防止管理者を選任しなければならないこととされている。油濁防止管理者制度は、日本船舶であって総トン数200トン以上のタンカーに限定されており、日本船舶以外の船舶については適用されない。ただし、総トン数200トン以上のタンカーであっても、引かれ船等(専ら他の船舶に引かれ、または押されて航行する船舶をいう。以下同じ。)であるタンカー及び係船中のタンカーには油濁防止管理者の選任は不要である。(規則9)

(1) 油濁防止管理者の備えるべき要件(規則10)
 「船舶職員法」(昭和26年法律第149号)第4条〔免許〕の規定による海技従事者の免許(海技士(通信)、海技士(電子通信)及び小型船舶操縦士の資格についての免許を除く。)を受けている者であって、次のイ.又はロ.いずれかの要件を満足していなければならない。

 イ. タンカーに乗り組んで油の取扱いに関する作業に1年以上従事した経験を有する者
 ロ. 油濁防止管理者を養成する講習として運輸大臣が定める講習を修了した者
  イ.又はロ.は客観的に認められるもので特に認定行為は必要としないが、要件を満していることの証明を欲する者は、申請により地方運輸局長等から証明書の交付を受けることができる。油濁防止管理者を養成するための講習は、地方運輸局長を含む。)又は沖縄総合事務局長(以下「地方運輸局長等」という。)の実施する油濁防止(海運管理部長管理者養成講習である。


(2) 油濁防止管理者の職務
 油濁防止管理者の職務は、具体的には次のような業務が挙げられる。

イ. 油記録簿を記載し、保管すること。
ロ. 油の不適正な排出の防止作業及び油が排出された場合の除去作業に関する必要な指示を乗組員に行うこと。
ハ. 作業設備、作業方法等に関する油の不適正な排出の防止のための改善意見を船長を経由して船舶所有者に申し出ること。
二. 各種作業に係る作業予定表の作成に当たって船長を補佐すること。
ホ. 作業の開始前、完了後の点検を実施し、その結果を船長に報告すること。
へ. 作業中の報告を聴取し、作業状況を把握すること。
ト. 油の例外的な排出があった場合に、その原因を調査し、船長及び各部の主任者に報告すること。
チ. ビルジ等排出防止設備、水バラスト等排出防止設備、貨物艙原油洗浄設備その他の油の不適正な排出の防止のための機器について各部の主任者が行った点検及び整備を確認し、その結果を船長に報告すること。
リ. 利用可能な廃油処理施設に関する情報を収集し、船長に報告すること。
ヌ. 油濁防止規程に定められた事項その他必要な事項を自船の乗組員及び乗組員以外で油の取扱いに関する作業を行う者に対して周知及び教育すること。

 

 

前ページ    目次へ    次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION