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(2)燃料中の硫黄含有率

日本郵船の分析結果によると、世界的に見てMDO(日本国内における軽油、A重油相当)の硫黄含有率は0.05〜1.24wt%の間にあり、MFO(日本国内におけるB重油、C重油相当)の硫黄含有率は0.46〜5.31wt%の間にある。日本からのバンカーオイル積み出しの平均的な硫黄含有率についての網羅的な統計は存在しないが、一般にMDOで1wt%程度、MFOで2.7wt%程度と推定されている。一例として、MFOに関するシップ・アンド・オーシャン財団の調査結果を表3.3-40に示す。また運輸省が20隻を対象に行なった実船調査ではMDOで平均0.80wt%、MFOで平均2.66wt%とされている。

国産A重油の硫黄含有率は最大1.0wt%程度であり平均0.5wt%程度と考えられ、一方、内航向けC重油の硫黄含有率は日本内航海運組合総連合会の調査によると平均2.3wt%程度である。本調査では、燃料中の硫黄分は、MFOで平均3.5wt%程度、C重油で2.5wt%程度、A重油で0.5wt%程度およびMDOで1.0wt%程度とした。

船舶の主機での燃焼された燃料中の硫黄分は、Lloyd's社の調査や造船業基盤整備事業協会の調査あるいは東京都の調査等により、ほぼ100%SO2に酸化されて排気ガス中に存在していることが知られている(図3.3-16参照)。ごく微量の硫黄含有物質は未燃状態のままいわゆるSOF*として排出されているが、可溶有機分の濃度は他の未燃炭素成分や窒素分も併せて最大で300ppm程度と言われている(低速2サイクルの場合MANB&W資料)。

*SOF

Soluble Organic Fractionの略称で、排ガス中の粒子状の物質のうち有機溶媒に溶解する成分を指す。

 

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図3.3-16 燃料中硫黄分のSO2への転換率

 

 

 

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