船舶離着岸用引船現況及び稼動実績一覧表、運輸省港湾局技術課(1997)
そこで、横浜川崎港における運航実績データを全国に適用した。同資料によると、平成9年度において両港で操業するタグボート34隻の年間運航時間は79,787時間、40,864隻である。また、燃料消費量は14,820klである(横浜川崎曳船組合聞き取り)。全国での操船隻数298,450隻で外挿すると、国内の燃料消費量は、108×103kl=95×103tと、計算される。
定格出力に対する割合は概ねの数値、使用時間割合は実測値
メーカー資料より作成
エ.漁業
軽油、重油については、エネルギー需給統計年報に漁業による燃料消費量の集計が存在する(表3.3-3参照)。まずこの数値の妥当性について検討する。
動力付き漁船の使用実態は水産庁が調査を行っている第9次漁業センサスにより明らかにできる。同資料によると、ディーゼル主機船舶の回答数は、146,584隻と漁船統計に登録の数値(188,256隻)よりやや少ない。これは、センサス調査では、遊漁船、官公庁船舶など漁業操業に関与しない船舶を対象としてないためである。表3.3-12に示すように、各船舶の平均主機馬力および年間の出漁日数がセンサスによって把握しうる。表3.3-13に示すように、平均負荷率および一日当たりの操業時間を仮定し、1993年の年間消費量は約3,000×106t/年と計算される。同年のエネルギー需給統計によると、漁業による燃料消費量は約3,700×106t/年とされており、センサスのデータによる積み上げ値よりも2割程度多い(表3.3-14)。これは、センサスのデータでは遊漁船による消費量が計算されていないことが大きく影響していると考えられる。
以上のことから、本調査においては、国内の漁業による燃料消費量はエネルギー需給統計年報の値を使用することが妥当であると解する。