日本財団 図書館


(3) 将来の観測船のあり方

図3.2-2に示すように、日本の代表的な大型観測船として、海洋科学技術センターが保有する「みらい」が挙げられる。「みらい」は、すぐれた耐氷性、航行性を備え、広域かつ長期間にわたる観測研究を行うことが可能な世界最大級の海洋地球研究船であり、地球温暖化等の地球規模の環境変動の解明・予測に大きく貢献するものである。「みらい」運用体制検討委員会において平成9年9月に策定された「海洋地球研究船「みらい」利用計画」によると、「みらい」は、その特徴を生かし、海洋地球研究の最先端国際洋上基地や多様な海洋地球データの発信基地、あるいは動く海洋地球科学館としての役割を果たすことが期待されている。一方、上述の基本的役割を果たすため、以下に要約するような「みらい」利用のための基本的な考え方が掲げられている。

 

1] 開かれた研究体制

科学的展望のもとに策定される計画に基づき、「みらい」を利用して実施する研究課題および乗船研究者を国の内外から募集し、科学的視点から優れた研究課題を厳正な審査により採択する。

 

2] 国際的な研究への貢献

海洋観測研究に関連して、地球規模の海洋現象や地球環境変動を解明し予測することを目的に、世界海洋観測システム(GOOS)など、現在様々な国際的活動が実施されている。「みらい」をこれらの活動への積極的な貢献を目指して利用する。

 

3] 観測データ/サンプルの積極的な取得・公開

「みらい」は様々な海域を航行する際、最大限にデータを取得し、また、データ取得の要望についても対応することとする。取得された観測データは、インターネット等や、既存のデータ収集・交換機能(全世界海洋情報サービスシステム(IGOSS)、国際海洋データ情報交換システム(IODE)等)を活用して、可能な限り速やかに公開する。取得されたサンプルについても同様に、積極的に公開することとする。

 

4] 「みらい」の成果の公開と海洋への理解の促進

「みらい」は、その成果が国民に還元されることが肝要であり、積極的に成果の公表に努める。また、青少年をはじめとする国民に対し海洋に対する理解の増進を図るために「みらい」を活用する。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION