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4. プロダクトモデルの共通化

プロダクトモデルの共通化については、共通機能の拡充、構造設計FLの柔軟性向上、船殻詳細構造表現能力の拡充及び艤装FL共通機能の拡充を実施することとなっており、本年度はこれらについてGPMEのFLを拡張してベータ版を作成した。

以下に、4.1で拡張方法、4.2で共通機能の拡充、4.3で船殻構造FL共通機能の拡張、そして4.4で艤装FL共通機能の拡充について述べる。

なお、工作FLは船殻構造FLや艤装FLと密接な関連を持っており、船殻構造FL及び艤装FLが実用レベルに拡張されていることを検証するためには、工作FLも同様のレベルに拡張されている必要があり、また、検証用アプリケーションを動かすためにも工作FLを広範にわたって拡張する必要がある。これを考慮して、それ自体は上記4項目の拡張対象には含まれていないものの、工作FL共通機能の拡充について4.5において述べる。

 

4.1 拡張方法

昨年度に行った業務分析及びそれに基づいて機能要件を明確化した結果を拡張仕様書の形でまとめ、それに従ってFLの拡張を行った。拡張作業はGPMEのOntoEditorを使い、GPMEのEFL/Sをベースとして、クラス及びメソッドの追加や変更を行っていくことによって進め、このようにして構築したACIM FLの検証は仮想のダブルハルタンカーを用いて行った。

 

4.1.1 拡張の方向

GPMEのCFLは組立産業における汎用性を目指したものであり、造船だけを対象としたものではないが、GPMEのFLには造船向けに拡張したFLであるEFL/Sが存在する。これはGPME用のサンプルプログラムが動くレベルをめどに造船用に拡張したものであって、そのまま実用に使えるものを目指したものではない。従って、造船業において実用レベルのFLを構築するためには、EFL/Sを更に造船向けに拡張する必要がある。

一般的に、システムを拡張する場合の拡張の方向としては、使い易さや機能の向上を目指す方向と、システムが対象として扱える範囲を広げる方向の2つが考えられる。本開発研究においても次の2つの方向について拡張要件の検討を行った。

・深さ方向の拡張(構築と操作機能の向上)

・幅方向の拡張(表現能力の拡張)

「深さ方向の拡張」は船舶のモデルを容易にかつ柔軟に構築し操作できるようにするなど、モデルの質的な高度化を目指し、「幅方向の拡張」は既存CADが表現しているものを表現可能にするなど、モデルのカバー範囲の拡大を目指すもので、これらの関係を模式的に表したのが図4.1-1である。

 

 

 

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