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4.2.2 評価結果のまとめ

 

種々の吸着剤の評価結果をまとめて以下に示す。

 

(1) ゼオライトのNO吸着量

Cu-ZSM-5は水蒸気の存在しない条件ではNO吸着量は大であるが、水蒸気の存在によりシリカアルミナ比にかかわらず大きく吸着が阻害を受けた。また、ZrO2やBaO等のNO吸着成分をゼオライトに担持したもののNO吸着量はCu-ZSM-5と比較して少なく、いずれも水の阻害を大きく受けた。

 

(2) Ba-Cu-OのNO吸着量

Ba-Cu-OのNO吸着量は非常に大きく、水蒸気存在下でも比較的多量のNOを吸着しうる。ただし、XRDから反応前後で状態が変化していること、また水蒸気存在下では構造が不安定であること、CO2の存在により吸着阻害を受けることが知られており、実用上は問題があると思われる。

 

(3) Mn-Zr-OのNO吸着量

Mn2O3・2ZrO2(Mn:Zr=1:1 550℃)は水蒸気存在下でも大量のNOxを吸着でき、ほとんど水蒸気の影響を受けないことが明らかとなった。

100℃での恒温吸着試験結果(SV=6,000h-1)では、H2Oが存在しても1時間100%のNO吸着能を、吸着量と脱離量はほぼ等しくなった。また、NO吸着量は温度により以下の序列となった。

H2O= 0%のとき:吸着量 100℃ > 200℃> 300℃

H2O=10%のとき:吸着量 200℃ > 100℃、300℃ 

これは、基本的に低温ほど吸着には有利であるが、水蒸気が存在する条件では100℃ではNOの酸化によるNO2の生成が抑制されているためと考えられる。一方、100℃からの昇温吸着試験結果からも水蒸気が存在してもNO吸着はほとんど影響を受けないことが明らかとなった。しかし高SV、H2O存在下では200℃前後で若干のNO吸着量の低下がみられる。しかし吸着量の総量はNO系とNO2系でほとんど差がみられないことから、200℃以上の温度域ではNO2の生成は律速ではなく、むしろ吸着量増大のためには高表面積化が必要であると結論できる。

 

 

 

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