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3.8 将来電磁推進船の形態、開発予想等

超電導電磁推進船は、従来の船舶におけるスクリュープロペラ推進と異なる電磁流体を利用することにより、高速領域での静粛航行が可能であり、減速機が不要で保守の容易な技術システムとして期待と関心が寄せられている。この超電導電磁推進船に関する開発技術が今後どのような姿で具体化されるのかというイメージコンセプトを描くことを目的に、実用化時期の目標を2020年頃と設定し、技術・交通輸送システム・社会のニーズなどの将来展望から超電導電磁推進船の具備すべき条件設定を行い、概念構成を検討した結果が報告されている[1]。このなかで、超電導電磁推進船に対する要求機能から航路と輸送対象、輸送の安定、他交通との連絡、船の形式、燃料、スラスターの効率向上、船体抵抗の低減、通信・安全設備に至る検討結果が紹介され、その集約として輸送機能と技術の選択がそれぞれ表3.8.1および表3.8.2のようにまとめられている。
イメージコンセプトの輸送機能に関しては離島の観光・生活航路の旅客輸送に対象が絞られた。スラスターに関しては、海水中に形成させた交流磁場と交流の進行磁場によって誘起される導電流との相互作用により推力を得るリニアインダクションモータの一種である高周波交流内部磁場方式を1つの方向と期待しながらも、図3.8.1、図3.8.2に示すような海水以外の媒体を使用する例、および図3.8.3に示すような海水中に導電性媒体を混入する例も取り上げている。この報告で策定された超電導電磁推進船の将来像の1例を図3.8.4に示す。

 

[1]「超電導電磁推進船の未来像の策定」報告書、株式会社テクノバ (1994.3)

 

 

 

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