はじめに
本報告書は競艇公益資金による日本財団の平成10年度補助事業として実施した「超電導電磁推進装置の高出力化に関する調査研究」事業の成果をとりまとめたものです。
当財団では、昭和60年から超電導電磁推進船の開発を進めてきましたが、平成4年に実験船「ヤマト 1」が世界で初めて実海域における航走に成功し、超電導電磁推進装置が船の推進装置として使用できることが実証されました。しかしながら、超電導電磁推進船を実用化するためには「ヤマト 1」の超電導磁石を遙かに越える高磁界・大口径磁石の開発を始めとして、励磁システムや冷凍システム等の周辺装置の開発等、解決しなければならない技術課題が数多くあります。
本事業では、超電導電磁推進装置の高出力化のための技術課題について開発状況を認識し、超電導電磁推進船の実用化に資することを目的として、平成7年以降に公表された国内外の超電導関連の文献、会議資料等を基に、超電導磁石やそれらの周辺技術について最新技術の開発動向等の調査を行いました。
本報告書は、それらの成果をとりまとめたものです。この報告書が超電導電磁推進船の実用化のための資料として、また超電導技術一般の現状を把握する資料として有効に活用されれば幸いです。
本事業は、元良誠三 東京大学名誉教授を委員長とする「超電導電磁推進装置の高出力化に関する調査研究委員会」の各委員の熱心なご審議による他、多くの方々のご協力により完遂したものであり、これらの方々に対して心から感謝の意を表する次第であります。
平成11年3月
財団法人 シップ・アンド・オーシャン財団
会長 今市憲作
