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(3)「三北」防護林システム、長江中、上流防護林システム、沿海防護林システム、平原農地防護林システムを完成させる。「三北」防護株システムは西北、華北、東北を貫き、東西に1.4万キロメートルに延びており、砂漠蔓延と黄土高原の水土流失の防止に重要な役割を果たしている。長江中、上流防護林システムは速成林を主としており、その主要目的は長江流域の水土流失を防止することである。中国の海岸線は1.8万キロメートル余りに達し、干潟資源が豊富であり、また沿海岸の砂荒れ地、荒山、丘陵などが多い。中国政府はこれらの地域に沿海防護林システムを作ることを計画している。それによって、台風のもたらす損失を軽減させることができ、沿海農地の浸かりと沿海荒山丘陵の水土流失を防止することができる。すでに600の県、4000万ヘクタール余りの農地が平原農地防護林システム計画に入っている。

 

3. 淡水資源と農業灌漑

 

中国の開発利用可能な水資源の総量は2.8万億立方メートルであるが、主には地表水、地下水と氷河水に分かれている。地表水資源の総量は2.71万億立方メートル余りであり、世界河川総量の5.7%を占めている。地下水資源は8252億立方メートルで、氷河総蓄水量は5万億立方メートルであり、毎年550億立方メートルの水量を河川に補給し、長江、黄河、ヤルツアンポ江、インダス河、ガンジス河などアジア巨大河川の上流源となっている。

中国水資源の地域分布は不均衡で、降水量と流失量は東南から西北へと逓減している。

中国水資源の時間分布も不均衡である。というのは、年内分布が不均衡であり、年間の変化が大きい。年内分布からみると、南の各省の増水期は5〜8月の四ケ月間で、降水量は年降水量の50〜60%を占めている。北方の増水期は6〜9月の四ケ月間で、降水量は年降水量の70〜80%を占めている。年間変化からみると、水量の多い年と少ない年とで格差が大きい。例えば、海河の水量の多かった1963年の水量は533億立方メートルであり、少なかった1972年の水量は99億立方メートルで、この二つの年の間の格差は5.4倍にもなり、水資源の年間変化が大きく、水害または干ばつが起こりやすく、農業生産に影響をもたらしている。

 

 

 

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